研究で判明「移動中や旅先で仕事がはかどる」理由 「環境を変えるだけ」で作業効率が劇的に上がる

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ドイツの心理学者のクルト・レヴィンが提唱した「場の理論」というものがあります。人間の行動は、その人とその人がおかれている環境の相互作用によって決まる、というものです。20世紀の心理学に大きな影響を与えた理論でもあります。

たとえば、ダイエットをいくらがんばろうと思っていても、ついつい食べすぎちゃう人っていますよね。そういう人は、たとえば、お皿を小さいものにするだけで食欲を抑えることができます。

「お皿」という環境を変えてみるわけです。

コーネル大学のワンシンクとフローニンゲン大学のファン・イタラサムの実験では、12インチ(約30cm)のお皿を10インチ(約25cm)のものに替えただけで、22%も食べる量が減ったそうです。私たちは、環境によって「意思決定をさせられている」と考えてもいいかもしれません。

極端な例ですが、私の友人はダラダラするのをやめるためにソファを捨ててしまったと笑っていました。

私自身、学生時代は朝起きるのが苦手だったので、ベッドから数メートル離れたところに4つ(!!)目覚まし時計をセッティングしていました。

また、勉強に集中するために机とイスをくくりつけ、一度イスに座ったらそこから出るのが面倒になるよう、イヤでも勉強と向き合うようにしていました(笑)。

ゲームやSNSをついやりすぎてしまい、その結果として仕事のやる気が出ないなら、ゲーム機やスマホを物理的に触れられない環境にしてしまう。

机に向かうことそのものが乗り気でないなら、有料の自習室を定期的に借りたり、お気に入りのカフェに仕事道具とお財布だけを持って行ったりするなど、環境を変えればOKです。

先の私の友人のように、ソファを捨てるといったショック療法ともいえる大胆な環境改善は人を選ぶでしょうから、できる範囲から始めれば大丈夫です。

環境を変えたり、アレンジしたりするだけで、「すぐやる」は生まれやすくなるのです。

リモートワークのダラダラをなくすには

株式会社ネクストレベルが運営する縁結び大学が300人に行ったアンケート調査では、テレワーク中に「モチベーションが下がった・集中が切れた」という経験のある人はなんと97.7%に及んだそうです。

ほとんどの人が、テレワークによってモチベーションや集中力の維持に苦労していることがわかります。ずっと同じ環境下で仕事をすることで、オンとオフの境界線がわからなくなり、はかどらない。仕事場へ行くことで意識が自動的に切り替わっていたのでしょう。

ということは、テレワークであっても、自分が職場に行くことでスイッチが切り替わるような感覚を新しく作ればいいということ。お気に入りのカフェや図書館に行く、自宅に仕事専用スペースを用意するなど、自分の中でモードが切り替わる空間を作ろうというわけですね。

自宅が狭いなどの理由で、リビングで仕事をしている人もいるかもしれませんが、そうなるとオンとオフの切り替えは難しいでしょうし、家族がいる場合などは集中できずイライラも募って悪循環になりがちです。

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