今さら聞けない「代替肉」と「培養肉」注目のワケ 欧米を中心に若者が肉を食べなくなっている

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代替肉大手、ビヨンド・ミートのハンバーグ用肉(写真:Gabby Jones/Bloomberg)
近年話題となっている「代替肉」や「培養肉」。アメリカの著名投資家が代替肉企業に投資するなど、業界的にも盛り上がっている背景には食肉産業が抱える根本的な問題があります。本稿では齊藤三希子氏の新著『バイオエコノミーの時代―BioTechが新しい経済社会を生み出す』から、代替肉や培養肉への関心が世界的に高まっている背景をわかりやすく解説します。

コーヒーは需要に栽培が追いつかなくなる

アメリカの国際的なコーヒーに関する研究機関「ワールド・コーヒー・リサーチ」の2016年の調査によると、2050年にはコーヒーの需要量が、現在のコーヒー生産量の2倍になる一方、気候変動の影響により栽培適地は半減するといわれています。気候変動に適応させた生産方法に切り替えない限り、2050年には世界的生産量が現在の生産量を下回る可能性があります。

最大産地であるブラジル、ベトナム、コロンビアは大打撃を受けるだけではなく、30年後にはおいしいコーヒーを安価に飲むことができなくなるかもしれません。これが“コーヒー2050年問題”です。

一方、現在のコーヒー栽培による環境負荷は大きく、熱帯林がプランテーションになると生物多様性が損なわれるだけではなく、大量の水資源を必要とします。コーヒー栽培は、気候変動の促進にもつながっています。気候変動による影響は、食料生産量だけではなく、世界の食文化(農作物・水産物)へも大きな影響をもたらしています。また、新興国の所得増加による食生活の変化や人口増加による影響も大きい状況です。

世界的な人口爆発や新興国の経済成長により食肉需要も急拡大しています。国際連合食糧農業機関(FAO)は、食肉需要が2050年には2007年比で1.8倍になると予測しており、食肉供給が追いつかない状況です。

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