今さら聞けない「代替肉」と「培養肉」注目のワケ 欧米を中心に若者が肉を食べなくなっている

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食肉の生産には、その何倍もの飼料穀物を家畜に与える必要があり、現在、収穫された穀物の半分近くが飼料として消費されています。食肉需要が増加すると、急激に穀物需要も増加します。

一方、過去50年、気候変動や資源逼迫などによって穀物の収量増加率は低減傾向にあり、従来と同じような収量の増加率を維持することは難しくなっています。そのため近い将来、畜産に必要な飼料を確保することができなくなると懸念されています。

世界で需要が増えている魚介類などの水産物は、グローバルでの争奪戦が激しくなり、世界の水産物価格は、2003年頃から60%以上高くなっています。一方、物価が停滞し世界における購買力が減少する日本は、海外輸入に依存しているにもかかわらず買い負けが発生しています。将来輸入できなくなる可能性が高く、大衆魚とされてきたサーモンやタコが日本の食卓から消える可能性があります。

食の安全保障に対する関心が低い日本

日本の食料自給率はカロリーベースで約37%、ピークだった1965年度の73%からずっと低下傾向になっており、日本は食料の62%を海外に依存しています(農林水産省「食料自給率食料自給力指標について」)。比較的、国内生産量の多い野菜においても、その種苗生産は約9割を海外に依存しているため、種子生産を含めた国内生産量は生産量の1割に満たない状況です。

日本ではまだあまり食料安全保障への関心は高くないかもしれませんが、食料の輸入で、食糧需要が急激に増えている中国などに買い負ける状況が顕在化すれば、日本でも食料価格が上昇する事態は避けられません。

欧米の食肉消費量は世界の大半を占めていますが、近年欧米における1人当り年間食肉消費量は減少傾向にあります。この傾向は、環境問題や健康、動物愛護の観点を重視するミレニアル世代が牽引しています。ミートレス社会の到来です。

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