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トヨタ「香川照之氏との契約終了」の先に待つ難題 単なるCMタレントに留まらない重責を担っていた

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  • 西山 守 マーケティングコンサルタント、桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授
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それに加えて、③とも関わるが、次期編集長にはリスクのない人物を起用する必要がある。「文春砲」「ガーシー砲」と呼ばれるように、以前と比べて芸能人の不祥事が暴露されやすくなっているし、SNSの普及で容易に炎上しやすくもなっている。今後、同じ轍を踏むわけにはいかない。

「自社保有メディア」として情報をコントロールしつつも、有名人を起用して第三者視点から継続的に情報を発信し、広告も活用しながら効果的に集客を図っていくというやり方は、企業PRの手法としては秀逸なものだ。しかしながら、今回はその手法が裏目に出て「トヨタイムズ」というブランドまで毀損するに至ってしまった。

求められるオーセンティシティー

マーケティングの世界では「Authenticity(オーセンティシティー)」という言葉が頻繁に使われるようになっている。日本語ではニュアンスは伝わりにくいが、「真正性」「信憑性」「信頼性」といった意味だ。

広告、PRにおいても、ウソ、偽り、誇張のない、正しい情報を誠実に伝えていくことが重視されるようになっているが、「トヨタイムズ」もまさにそこを目指して立ち上げられ、これまで運営されてきたものだと言える。

当然のことながら、トラブル対応においても、「Authenticity」が求められることになる。

現時点までのトヨタの対応は「既定路線」であったと言ってもいいだろう。一方、今後は前例のない難しい判断、対応が求められることになる。

今回の件は、「CMタレントの一不祥事」にとどまらず、企業の情報発信において「理念をいかに実現していくのか」ということにもつながっている。

香川氏の契約終了によって、トヨタは「パンドラの箱を開けてしまった」と言えるだろう。しかしながら、箱を「開けない」という選択肢はありえなかったのだ。

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