アカデミー賞獲った未婚母の「干渉しない子育て」 子育てと仕事の両立に苦しむ母親にアドバイス
8月31日から始まったベネチア国際映画祭。今では日本映画も数々ノミネートされているが、60年以上も前に大分から単身イタリア・ローマで学び、海外の映画業界へ飛び込んだ女性がいた。その名は映画プロデューサーの吉崎道代さん。1992年のアメリカ・アカデミー賞では『ハワーズ・エンド』『クライング・ゲーム』が計15部門にノミネートされ、4賞を受賞、世界を舞台に映画プロデューサーとして華々しい活躍で注目を浴びた。
一方、私生活ではイタリア人との間に男の子を授かり、未入籍のまま出産、シングルマザーとして奮闘してきた。この夏、自身の半生を振り返った本『嵐を呼ぶ女 「アカデミー賞を獲った日本人女性映画プロデューサー、愛と闘いの記録」』を出版した現在80歳の吉崎さんに仕事と子育ての両立のうえで大切にしたことや映画作りに必要なことなどについて聞いた。
イギリスではシングルマザーが普通
──30代後半の頃、未入籍のままイタリア人男性の子どもを産み、以来、ロンドンでお子さんを育てながら映画プロデューサーとして活躍されてきました。
吉崎:「シングルマザー」「未婚の母」というのは、ネガティブなイメージがあるかもしれません。でも、私は最初から未婚の母になりたかった。フェミニストだし、自立した女性でありたかったのです。
結婚に対する幻想は、いっさいありませんでした。自分はマーロン・ブランド(アメリカの俳優)に恋していたこともあったのですが、中学生の頃から「私は外国人との間に子どもを産んで1人で育てる」と言っていたそうです。
高校を卒業し、ローマに映画の勉強に行ったときは、海外に出てキャリアウーマンになりたいという気持ちだけがありました。そして、キャリアを積むにつれて、片隅でもいいので国際的な映画作りの現場にいたいという気持ちが強くなりました。そのことだけに夢中でしたね。
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