アカデミー賞獲った未婚母の「干渉しない子育て」 子育てと仕事の両立に苦しむ母親にアドバイス

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──そんな吉崎さんも仕事で家を出るとき、子どもを1人にすることがつらかったといいます。

吉崎:仕事で海外に行き、1年のうちの半分以上は家を空ける生活をしていました。私は息子にナニーを2人つけていましたが、家を出るたびに子どもは泣いていました。いつも後ろ髪を引かれる思いでしたね。

子どもに寂しい思いをさせていることがつらかったです。でも、今振り返ってみて思うのは、息子は私の背中を見て育ったということ。2歳ぐらいから映画祭に連れていっていましたが、彼は私が必死で働く姿を見て育ちました。

紆余曲折ありましたが、彼も今は映画プロデューサーとなり、私のパートナーとして仕事をしています。

今、仕事をしながら子育てをする中で「子どもに寂しい思いをさせているのではないか」と悩んでいる女性たちに言いたいのは「それでいい」ということです。最終的に子どもは親のことをきちんと見ています。

人間はみんな孤独です。なので、子どもが寂しい思いを経験することは、ある意味ではいいことだと思います。一緒にいる時に思い切り愛情を注げばいいのであって、ひとりで時間を過ごすことが良くない、というのは違うのではないでしょうか。子どもを甘やかしすぎてはいけない。そういうふうに今は感じていますね。

日本の母親はもっと自立すべき

──日本では過干渉な母親が話題です。

吉崎:日本ではお母さんが娘と一緒に住みたがるケースが多いと聞きます。ミラノなどでよく見かけますが、お母さんが娘と一緒に海外旅行に来て、娘に高級ブランドの服を買い与えている。

『嵐を呼ぶ女 「アカデミー賞を獲った日本人女性映画プロデューサー、愛と闘いの記録」』(キネマ旬報社)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

日本のお母さんは子どもを甘やかしすぎているのではないかと不安になります。子どもを自分のエゴで、自分のそばにいつまでもいさせて、自立して飛び立っていくのを妨げる。

父親が長時間労働で母親とコミュニケーションがなく、父親よりも子どもとコミュニケーションを取っているケースが多い。

それで母親は1人の人間として自立できているのでしょうか。自立できていない生き方は寂しいのではないかと。

一方で、日本の若い女性は海外進出する人も増えて、世界でいちばんと言えるぐらいに輝いているのではないかと思います。それはとてもよいこと。お母さんたちは彼女たちの独立を助けてほしいですね。

熊野 雅恵 ライター、行政書士

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くまの まさえ / Masae Kumano

ライター、合同会社インディペンデントフィルム代表社員、阪南大学経済学部非常勤講師、行政書士。早稲田大学法学部卒業。行政書士としてクリエイターや起業家のサポートをする傍ら、映画、電子書籍の企画・製作にも関わる。

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