助けあえない日本人女性、「分断」が進んだ背景 他国に比べて女性間の連帯が弱いのはなぜか
7月13日に世界経済フォーラムが発表した、今年のジェンダーギャップ・ランキングで日本は先進国で最下位、146カ国中116位だった。前回の120位より上がったが、調査対象国が10カ国減っているのでむしろランクは下がったと言える。
例年のことだが、特に地位が低いのは政治と経済の分野で、政治は139位、経済は121位だった。経済分野は、達成率が去年より後退。今のペースでは、平等の実現まで132年もかかると警告されている。先進国とは思えないこの不平等ぶりにはさまざまな事情があるが、もし女性たちが連帯すれば、少しは事態を変えられるのかもしれない。
連携不足に2つの背景
日本の女性たちは、本当に連帯をしていないのだろうか。そうだとすれば、なぜ連帯できないのだろうか。社会学とジェンダー・セクシュアリティ研究が専門の菊地夏野名古屋市立大学准教授によると、女性の連帯不足は、近代日本の特徴と、ここ数十年の変化の2つの観点から考えられる。
まず、近代日本について菊地准教授は、「ジェンダーは人権の根本的な問題とかかわっていますが、日本ではそもそも人権概念や人権意識が本当には根づいていません。市民1人ひとりが声を上げ、助け合って社会を変えていく意識が非常に薄く、人権を謳う日本国憲法も十分に生かせていないことは、いろいろなところで指摘されています。そのために、連帯が難しいんです」と指摘する。
戦後から1960~1970年代にかけては、社会運動が活発でウーマン・リブなどの女性運動も盛んだった。しかし、その後の社会の変化で、連帯がどんどん難しくなってしまう。
1980年代には有名なフェミニストがメディアに登場し、学問的な議論が深められ、1990年代になると、DV、セクハラ、夫婦別姓など、テーマごとに活動する形になっていく。最近は日本でも#MeTooの動きがあり、伊藤詩織さんや何人かの告発は行われている。ところが、いずれの時期も告発などは個別の例とされ、広い活動には至っていない。これについて菊地准教授は「そうした分断が、歴史的に形成されたと知ることが重要」と指摘する。
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