新興国市場のトレーダーにとって、今年はすでに大荒れの1年だ。スリランカとロシアのデフォルト(債務不履行)に続き、今はエジプトが債務危機回避に取り組んでいる。
急激なインフレや利回り上昇、世界経済の減速が貧困国を苦しめているが、その新たな象徴がエジプトだ。新興国市場がデフォルトの連鎖を回避し、到来しつつある与信引き締めの時代を乗り切ることができるかどうか、そのケーススタディーとして投資家はエジプトを注視している。ロシアのウクライナ侵攻後、食料輸入国のエジプトは穀物価格の急上昇に苦しめられている。
ブルームバーグのモデルに基づくと、エジプト政府が 1 年以内に債務返済を怠る確率は、2013年以来の高水準。JPモルガン・チェースのデータは、米国債に対するエジプト国債の上乗せ利回りが一時、初めて1200ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)を突破したことを示した。2016年に突然切り下げられたエジプト・ポンドは、それ以来の最安値に下落した。
ただ、今月に入りエジプト中央銀行のトップが交代。今後のシナリオを左右すると見なされているのが、同中銀の対応と国際通貨基金(IMF)と進められている交渉だ。それでも、エジプトが通貨を切り下げ、IMFの支援パッケージが資金調達の不足分を十分埋める規模になるのが明らかになるまで、投資家の脳裏からデフォルト懸念が去ることはない。
オックスフォード・エコノミクス・アフリカのエコノミスト、コーリー・デイビス氏は「特に経常赤字拡大と弱い資本流入の中で、エジプトはデフォルト回避のため追加的な外部支援を必要とするだろう」と述べ、「さらなる外部資金を確保できなければ、デフォルトリスクが大幅に高まる」 と予想した。
今年の新興国市場で極めて重要な役割を担っているのがIMFだ。IMFは8月29日に理事会を開くが、パキスタンは12億ドル(約1660億円)のファイナンスを待っている。IMFの当局者はコロンボで今月末まで協議しており、スリランカ中銀総裁は年内の救済パッケージ履行を期待している。
FIMパートナーズのポートフォリオマネジャーでソブリン調査責任者マシュー・ボーゲル氏(ロンドン在勤)は「エジプトはスリランカとは異なり、はるかに高水準の準備金バッファーと今後に向けずっと優れた資金調達の選択肢がある」と指摘。「エジプトの問題はよりタイトな政策と公的な債権者支援により対処可能」というのが同氏の見立てだ。
原題:Default Jitters Stalk Egypt, Sending Traders on a Wild Ride(抜粋)
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著者:Netty Idayu Ismail
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