「9歳上のバリキャリ妻」を溺愛する30歳夫の人生 「仕事は最小限でいい」と仕事も住まいも変えた

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このインタビューはZoomで行っているが、幼い長女と長男のことをつねに気にかけているのは尚人さんのほうだと感じた。仕事大好きの梓さんの話を改めて聞きたいと伝えると、彼は画面から消えて子どもたちの世話に集中。穏やかな表情の梓さんが「相性の良さ」を語ってくれた。

「彼は平成生まれですが、すごく昭和臭い(笑)。TKやスピッツが好きなのだそうです。ジェネレーションギャップを感じたことはありません。子育てに必要な体力を考えるともっと早く結婚したかったとは思いますが、あのタイミングだから尚人さんと出会えたのだと思います。土日もオンラインセミナーを受けたりするワーカホリックな私を理解してくれて、もったいないぐらいの夫です」

部外者の筆者ですら梓さんの「引きの強さ」を感じずにはいられない。それだけ魅力的な女性なのだろう。しかし、尚人さんのほうには別の言い分があるようなので、今度は尚人さんだけに画面の前に座ってもらった。

「婚活サイトで5、6人の女性と会いましたが、妻が一番居心地が良かったのは確かです。でも、僕が一番重視するのは異性関係で、絶対に浮気はしないでほしい。彼女は(聖職者みたいなものである)教員なので心配ないだろうとも思いました」

昔の名作映画についての話題で軽く意気投合した筆者に心を許してくれたのだろうか。尚人さんは本音を吐露し始めた。教員なので浮気の心配はないという話は皮肉をきかせたジョークなのだと思って笑ってしまったが、尚人さんは真剣な表情を崩さない。仕事に没頭して好奇心旺盛な梓さんが同僚などに興味を持たないか心配で仕方ないようだ。

「僕だけを愛してほしいんです。本来であれば、僕のほうが心配される側だと思うのですが、どうしてこんな気持ちになっているのでしょうか……」

ふたりは素晴らしい補完関係

トークが面白い人は世の中にたくさんいるが、尚人さんのように人物そのものがユーモラスな人はなかなかいない。ちょっと時代錯誤で、珍しいほど純真で家族を大切にしているからだろう。

一方の梓さんは、恋愛に関しては尚人さんとは異なる感覚があるのだと思う。自分以上に仕事命な男性に心惹かれることもあるかもしれない。ただ、そうした彼らとの会話や共同作業は楽しくても、良きパートナーにはなりえないことを梓さんは肌身にしみてわかっているのだろう。

梓さんと尚人さんは素晴らしい補完関係にある。そして、尚人さんは存在自体が面白い。もっと自信を持ち、新たな地元でも保護者つながりなどで友だちを作って、自由に交流を楽しめばいいと思う。そんな尚人さんを梓さんが手放すはずがない。

大宮 冬洋 ライター

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おおみや とうよう / Toyo Omiya

1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに入社するがわずか1年で退社。編集プロダクション勤務を経て、2002年よりフリーライター。著書に『30代未婚男』(共著、NHK出版)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ともに、ぱる出版)、『人は死ぬまで結婚できる 晩婚時代の幸せのつかみ方』 (講談社+α新書)など。

読者の方々との交流イベント「スナック大宮」を東京や愛知で毎月開催。http://omiyatoyo.com/

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