ライフハックで効率上げるとますます忙しくなる 「すべてをこなそう」という誘惑に打ち勝つ

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ここまでは「効率化の罠」のことを、単純な量の問題として論じてきた。
やるべきことが多すぎるので、もっと短時間でたくさんこなそうとする。ところが、まさにそのせいで、やるべきことがどんどん増えていく。

でも効率化の罠の本当に怖いところは、量だけでなく質にも影響することだ。すべてを詰め込もうとすればするほど、なぜかどうでもいいことに時間を費やしてしまう。

「他人の期待を無限に受け入れる容器」になるな

やることリストを最速でこなせるライフハックを身につけても、リストの最重要項目はいつまでたっても手つかずのまま残る。タイムマネジメントを駆使して世界中のあらゆる秘境を訪れようとしても、おそらくいちばん行きたかった場所にはいつまでたってもたどり着けない。

「すべてをやれるはずだ」という意識が強くなると、「何を優先すべきか」という問いに向き合わなくなるからだ。やることリストに追加できそうな項目を見つけたとき、タイムマネジメントに自信がある人ほど、迷いなくそれを受け入れてしまう。ほかの仕事やチャンスを犠牲にしなくても、全部できると思っているからだ。

とはいえ時間は有限なので、何かをするには別の何かを犠牲にしなくてはならない。「その犠牲に見合うだけの価値があるだろうか?」と問うことをしないでいると、やることは自動的にどんどん増えるだけでなく、どんどんつまらなくて退屈なものばかりになっていく。本当は追加しなくていいことまで追加してしまうからだ。

あなたが有能だとわかると、誰かが自分の仕事をあなたにやってもらおうと考える。そしてあなたは、断れずについ引き受けてしまう。マネジメントの専門家ジム・ベンソンの言葉を借りるなら、「他人の期待を無限に受け入れる容器」になってしまうのだ。

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