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いきなり!ステーキはなぜここまで凋落したのか 大勝から大敗へ、創業者の一瀬邦夫氏が社長辞任

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  • 鈴木 貴博 経済評論家、百年コンサルティング代表
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調理経験者を再雇用し、ステーキを焼くというスキルにフォーカスして再教育していきました(撮影:梅谷秀司)

いきなりステーキの肉マイレージ会員は最盛期には1500万人規模を誇りました。国民の10人にひとりは会員になっていたわけですからいかにいきなりステーキの人気が高かったのかがわかります。

そのいきなりステーキですが、前述したように開業5年目の2018年に既存店の売り上げ減少が始まり、栄華の絶頂からのジェットコースターのような転落が始まります。いったい何が起きたのでしょうか?

いきなりステーキの戦略に狂いが生じたのは一般的には過剰出店がきっかけだったと言われます。全国500店舗を超えたところで近隣のお店同士が顧客を取り合うようになり、チェーン全体で飽和状態に達したという説明です。同時期に競合も登場しはじめたのですが、確かに競合する店舗数という視点でみればいきなりステーキの各店舗から見て、もっとも競合したのは同じいきなりステーキの近隣店だったことは間違いないでしょう。

皮肉だった一瀬邦夫氏からお客へのメッセージ

この時期、一瀬邦夫氏が自ら書いた手紙がいきなりステーキの店頭に掲示されたことがニュースで話題になりました。いきなりステーキを愛する顧客に向けたメッセージだったのですが、要するに近所のいきなりステーキにもっと頻繁に足を運んでくれないと、このままではそのお店が閉店してしまうかもしれないという内容の手紙でした。

お店の苦境をファンに支えてほしいという純粋な気持ちからだったと思うのですが、この手紙が、いきなりステーキブームが転換点に来ていることを世の中に知らしめたのはある意味皮肉だったかもしれません。ただ出店過剰が原因であればこの段階で店舗数を大幅に見直し、不採算店を整理したり店舗密度の高いエリアで姉妹店のペッパーランチへと業態転換したりすれば状況は違ったかもしれません。しかしここで経営はいくつか戦略ミスをしたと思われます。

いきなりステーキは業績悪化後の2021年に大幅な値上げを実施して客離れを起こしましたが、実はそれ以前にも常連客の「肉質が変わってきた」「店舗によって肉質のばらつきがある」という証言が耳に入ってきていました。開業当時に「原価率70%超」と言っていた数字も、2020年頃には一瀬氏の口から「いきなりステーキの原価率は50%くらい」という違う数字が語られることもありました。

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【リピーター戦略の誤算が傷口を広げる】

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