ニッセン、セブンの"お荷物"を脱せるか カタログ事業不振で今期も大赤字の公算

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2013年12月、セブングループがニッセンの買収を発表した会見。写真左はセブン&アイの村田紀敏社長。右はニッセンホールディングスの佐村信哉社長(当時)で、セブンとの提携に期待を寄せていたが、14年12月に社長交代した

もちろん、手を打たないわけではない。

ニッセン事業では今期、カタログの発行時期を見直すほか、ページ数も減らし、よりネットシフトを加速させる。ワーキングマザーとファミリー層にターゲットを絞り、取扱商品も大幅に見直し、これまでの安売り路線から付加価値路線に転換。価格も徐々に上げる計画だ。加えて商品数も大幅に減らすとしている。こうした一連の施策により、尻上がりに利益率は改善し、下期は「単月でもいいので黒字化したい」(ニッセン)考えだ。

とはいえ、先行きは楽観できない。ファストファッションやネット通販が台頭し、利用者が欲しいものを好きなときに買えるご時世にあって、季節が変わる前にカタログを投入し、季節を"先取り"した商品を買わせるというビジネスモデルは、過渡期を迎えている。カタログ通販で単品ごとの需要予測を行うというのが同社の強みだが、ネット時代になって需要予測はより難しくなっているのではないか。

 セブンとの協業の中身

また、商品についても「ニッセンでしか手に入らない」など、よほど特徴的な商品をそろえるか、ブランド力を強化しない限り、移り気な消費者の心を引きつけるのは容易でない。ニッセンは「高付加価値商品に力を入れる」としているが、消費増税の影響で消費者マインドが冷え込んでいる中、多くの企業がニッセンと同じ方向性を目指すとしており、「高付加価値」の中身も求められるようになる。

こうした中でセブンは、ニッセンの救世主になるはずだった。ところが、少なくともニッセンの決算の数字上、まったく相乗効果が見られないのはなぜか。

セブンが掲げる「オムニチャネル戦略」のもと、目下、両社は協業を進めている。すでにニッセンのカタログをセブンの店舗に配布しているほか、ニッセンの一部商品を「セブンネットショッピング」で販売。2014年10月には共同で有料の女性向けファッションカタログを制作・販売している。また、今後はセブンの店舗で、ニッセンで買った商品を受け取れるようにするサービスも始める予定だ。

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