ニッセン、セブンの"お荷物"を脱せるか カタログ事業不振で今期も大赤字の公算

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が、協業を促進するうえで、一つネックがある。それは、ニッセンがカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)と提携し、2014年4月から「Tポイント」を導入していることだ。セブンも自社の電子マネー「nanaco(ナナコ)」を展開しており、セブンネットなどでの買い物でポイントを貯めることができる。

本来であれば、セブンとニッセンでIDを共有化したり、ニッセンで買い物をした際にnanacoポイントが貯められたりすれば、それなりの相乗効果が見込めるのだが、両社はこれをしていない。セブン側によると、ポイントを加算することなどは契約違反には当たらないようだが、CCC側に配慮している可能性もある。CCCとの契約期間について、セブン、ニッセンとも明らかにしないが、仮に契約を破棄した場合、違約金が発生することは避けられない。

顧客情報共有できないワケ

また、買収直後は両社で顧客情報などを共有することによる、顧客基盤の拡大も期待されていた。が、双方の個人情報規約などが異なるため、それぞれの顧客に確認をとならければ、情報を共有することもできないようだ。ニッセン側はIDやポイント、顧客情報の共有などについて、「将来的には実施することを検討している」としているが、実現にはしばらく時間がかかるだろう。

もっとも、ニッセンは「(顧客情報の共有などは)ニッセンの業績が回復してからの話。セブンの力を借りるのでなく、自社で事業を再建しなければならない」(ニッセン)、とのスタンスだ。一方、セブン側は資本提携当初から、ニッセンのカタログで培ってきた通販事業のノウハウを高く評価しており、これをセブンネットなどに生かすことができるとしている。

確かにこうした目に見えない部分で、相乗効果が表われてきているかもしれないが、セブンがこのままニッセンを”放置”し、自力再建に委ねるようであれば、通販事業がセブングループ全体の足を引っ張り続けかねない。

セブンは2014年3月、ニッセンにセブン-イレブン・ジャパンの執行役員でもある永松文彦氏を、副社長として送り込んだ。「大化けする」との高い目標があるのなら、早急により密接な連携を進めることが必要だろう。

倉沢 美左 東洋経済 記者

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くらさわ みさ / Misa Kurasawa

米ニューヨーク大学ジャーナリズム学部/経済学部卒。東洋経済新報社ニューヨーク支局を経て、日本経済新聞社米州総局(ニューヨーク)の記者としてハイテク企業を中心に取材。米国に11年滞在後、2006年に東洋経済新報社入社。放送、電力業界などを担当する傍ら、米国のハイテク企業や経営者の取材も趣味的に続けている。2015年4月から東洋経済オンライン編集部に所属、2018年10月から副編集長。 中南米(とりわけブラジル)が好きで、「南米特集」を夢見ているが自分が現役中は難しい気がしている。歌も好き。

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