昭和の鉄道少年が熱狂した「ブルトレ」取材秘話 国鉄時代の「さくら」「あさかぜ」車内同乗撮影記

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EF65形Pにピンクのさくらのヘッドマーク、文字通り寝台特急の花だった。東海道本線湯河原―真鶴間(撮影:南正時)
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かつて“鉄道少年・少女”たちを熱狂させた寝台特急「ブルートレイン」。昭和50年代初頭には一躍子どもたちの人気者となり、「ブルトレブーム」と呼ばれ社会現象ともなりました。
東洋経済オンラインで懐かしの列車を中心とした記事を掲載している鉄道写真家・南正時さんの著書『寝台特急追跡乗車記』は、昭和50年代に書籍『鉄道大百科』シリーズの取材でブルートレインをはじめとする数多くの寝台列車に同乗ルポした際の多数の写真を中心に、懐かしい夜行列車の旅の様子を描いています。同書からブルートレイン「さくら」と「あさかぜ」の項目を抜粋(一部再構成)し、掲載写真の一部とともに紹介します。

輝く栄光の“1列車”「さくら」

「さくら」は九州方面行き寝台特急の中で東京駅を最初に発車する〝1列車〞だった。戦後の登場時は「さちかぜ」という列車名だったが、その後「平和」に改称、さらに1959(昭和34)年7月、客車が20系に置き換えられるとともに「さくら」となった。

B寝台のセット
下段寝台のシーツのセット。二段寝台になってからはセルフ方式になった(撮影:南正時)

筆者は1976(昭和51)年に、『ケイブンシャの大百科』の同乗取材で乗車した。乗車前には東京機関区でEF65形500番台の「さくら」ヘッドマーク付き牽引機を表紙用に特別撮影しており、特に思い入れの深い列車だった。

客車は1972(昭和47)年3月に当時最新型だった14系に変わったが、ベッドの幅は広くなったもののB寝台は20系同様の三段式寝台だった。寝台をセットしたり畳んだりする作業が乗客にはわずらわしいものだったが、筆者はこの寝台セットの「儀式」も寝台列車に欠かせない場面として集中的に取材した思い出がある。

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