昭和の鉄道少年が熱狂した「ブルトレ」取材秘話 国鉄時代の「さくら」「あさかぜ」車内同乗撮影記

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「さくら」は映画の中でも何度か登場したが、それらの作品の中で特筆されるのが1960(昭和35)年の「大いなる驀進」(東映、監督・関川秀雄)である。この映画は東京―長崎間の20系「さくら」をドキュメンタリータッチでドラマ化しており、特別列車を仕立ててロケをしたリアルな描写が、今となっては貴重な「さくら」の記録となっている。

筆者はこの映画を見て以来、列車追跡や同乗記の乗務員ドキュメントの参考として取材を続けてきた。いわば筆者の教科書的映画だった。

夜行列車といえば「食堂車」だった

夜行列車の楽しみの1つは食堂車での夕食のひとときにある。当時の「さくら」の食堂車は最新のオシ14形で、明るい雰囲気の車内だった。

18:00 食堂車は、寝台セット中に身の置き場がない乗客たちの利用が多かった(撮影:南正時)

定番メニューは日本食堂特製デミグラスソースの〝ビーフシチュー定食〞かカレーライス。「さくら」には一時、長崎の郷土料理であるちゃんぽんや皿うどんの特別メニューも用意されていた。朝食はハムエッグが人気の洋定食と和定食から選べるようになっていた。

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