「天丼てんや」人気支える味への徹底したこだわり 年7回限定品で訴求、看板商品は500円から値上げ

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いつの時代も、商品の値上げに対する消費者の心理的抵抗感は強い。日常的な商品ならなおさらだ。その昔、自動販売機の清涼飲料を100円から110円に値上げした際、提供側はワンコイン(100円玉)でなくなる反発に苦慮した──という話を聞いたことがある。

なお、競合の「天丼・天ぷら本舗 さん天」(44店舗、2022年8月現在)は、「39天丼」(税込み390円)や「海老天丼」(同450円)をワンコイン(500円玉)以下で提供する。

天丼てんや
「復活! 500円」として宣伝した時期もあった(2020年10月、筆者撮影)

以前は「ハンバーグ」「ローストビーフ」の天丼も

かつて「てんや」は変化球の天丼を打ち出した時期がある。定番の魚介類以外に、「豚角煮天丼」や「ロコモコ丼」、さらに「Wハンバーグ天丼」や「ローストビーフ天丼」も2011年から期間限定で販売した。なぜ、やめてしまったのか。

「当時は、『天ぷら×具材の可能性』を試そうと、さまざまな限定品を打ち出してみたのです。メニューは華やかになり、若い世代や外国人観光客の方にも注目されましたが、徐々にお客さまの満足度が低下するようになりました。そこで基本に戻したのです。

2020年1月から、あらためて『原点回帰』を掲げ、商品施策を見直しました。これまでの強みである魚介類と野菜の基本に立ち返り、素材と中身を深めています。ただし好評だった商品は定番化や期間限定品として残しています」

Wハンバーグなどは当時、“てんやのご乱心”とも言われたが、やってみた成果もあっただろう。この経験から得たものは何か。

「素材との相性や日本各地の文化も再認識できました。例えば鶏天丼が昔から食べられている地域もあります。今年1月、期間限定で『ポテサラ とり天丼』も販売しました。2014年から登場して好評だった『ポテサラ天』と、華味鳥(はなみどり)の『とり天』を組み合わせた商品です」

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