中国のミサイル発射が戦略的判断ミスと言える訳 議会人の台湾訪問に軍事力での対抗は異様、異常
宮家氏:米国は三権分立だ。議会も行政府もあるから、米国の政策決定は非常に一貫性あるものかと言われれば、必ずしもそうではない。短期的に考えれば、三者三様に出来レースだ。ペロシ氏は業績を残したい、中国は現状を変えるためのよい機会だとして動いた。バイデン米大統領は中国側に強く出る形で、なんとかレームダックになるのを避けようとしている。短期的にはそれでいいが、中長期的には中国は完全に判断ミスをした。
橋下徹氏(番組コメンテーター、弁護士、元大阪府知事):レガシーづくりなら言語道断だ。本当に戦略があるのならいいが、それが見えない。宮家氏は中長期的(に中国の判断ミス)と言うが、ペロシ氏訪台で中国軍が出てくるのは誰でもわかることだ。中国軍が出てきたときに日米がそれをしっかり抑え込むことができればいいが。
佐藤氏:ペロシ氏は議長とはいえ、議会人だ。議会人が台湾を訪問したことに対して軍事力で対抗措置を取ること自体が本来ダメなことだ。そこをまず批判しないといけない。このことでG7が声明を出したということは、欧州にとっても、中国はロシアと一緒で、議会人の訪問に対して軍事力で対抗措置をとるとんでもない国だということが明らかになった。中国の異様さ、異常さははっきりした。短期的には島民避難の視点。中長期的にはどうやって中国を抑止するかということについて日米だけでなく欧州とも連携していく。そういう点では中国は戦略的にミスをしたというのは宮家氏の言う通りだ。
曖昧戦略は必ずしも否定されるべきものではない
松山キャスター:中国が台湾に武力侵攻した場合に武力介入するかどうかを曖昧にしてきた「曖昧戦略」を米国が最近捨てたのではないかとの見方が出ている。
今年2月番組に出演した安倍元首相は「米国は曖昧戦略を捨て去るべきだ」と明言した。
小川淳也氏(立憲民主党政調会長):やはりウクライナ侵攻を阻止できなかったという米国の反省もあると思う。台湾でも「(米国は)助けてくれないのではないか」という不安と世論が広がっている。そのことから言うと、半歩踏み込むことはありえることだ。しかし、ウクライナ情勢を見ても、国際政治での曖昧戦略は必ずしも否定されるものではない。白黒はっきりつけようとすればするほど、互いに引けなくなる。引けなくなった結果、戦争被害は結局国民に及ぶ。国際政治での技術としての曖昧戦略は必ずしも否定されるべきものではない。