中国のミサイル発射が戦略的判断ミスと言える訳 議会人の台湾訪問に軍事力での対抗は異様、異常
以下、番組での主なやりとり。
松山俊行キャスター(フジテレビ政治部長・解説委員):大規模軍事演習で中国が弾道ミサイルを発射。うち5発が初めて日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下した。与那国島から極めて近い海域だ。このことの意味は何か。台湾有事で中国は日本を攻撃するのではないかともみられる。
宮家邦彦氏(内閣官房参与):台湾有事に中国は日米間にくさびを打つために、あるいは日本に関与させないために、日本の方向にはミサイルを撃たないのではないかということが可能性としてはあったが、今回間違いなく、日本に対する攻撃の蓋然性が高まったと見るべきだ。結果的に中国は、戦略的な判断ミスをした。この状況は当分続くだろう。
松山キャスター:戦略的判断ミスとは。
中国の戦略的判断ミス
宮家氏:(中国にとっては)台湾を孤立させ、日米に関与させないのが戦略的に一番良い方法だ。今回ペロシ米下院議長が訪台した。5年に一度の共産党大会の時、そういう時に、中国はよく戦略判断ミスをする。2012年の尖閣諸島国有化の時もそうだ。こうやって判断ミスをするとかえって日米を硬化させて中長期的には中国にとって不利になるということがわからなかったということだ。
佐藤正久氏(自民党外交部会長):中国は、与那国島、西表島、波照間島、石垣島など地上目標を打つためのミサイルを撃った。船を沈める対艦ミサイルではない。軍事演習では、これまで暗黙の了解だった台湾と中国本土の中間線もなきものにして、これを越えて、様々な艦船や戦闘機が来ている。日本のコウモリ外交はもう捨てないといけない段階に近づいている。「安全保障は米国、経済は中国」ではなく、台湾有事では沖縄の先島諸島を含めて日本がかなり巻き込まれるとの前提に立って対応しないといけない。日米で真剣にどう守るかの議論をしないといけない。ロシアのウクライナ侵略では抑止力が効かなかった。抑止力を上げないといけない。平和的取り組みは当然大事だ。外交も大事。一方で最悪のシナリオに基づいて備えることは、今からやらないと急にはできない。