日本は4軒「世界のベストレストラン50」が注目の訳 これまでのレストラン評価と異なる点とは?
ここで問題になってくるのが、全世界がフラットにランキングの対象になるといっても、やはり存在する立地そのほかの条件による有利・不利だ。
日本は、欧州のレストランと比べるとかなり不利といえる。なぜなら、欧州から遠く、島国のため地理的に不利であり、日本のレストランや食の魅力を伝えるプロモーションへの、日本の行政や政治家の後押しも消極的だからだ。
特にこの2年は、コロナ禍で全世界で旅行者の往来が止まり、2年経ってその制約が解かれつつある現在において、今後、旅行者が入国しやすいかどうかが得票数を左右するであろうことは想像にかたくない。
リベンジガストロノミーといえる盛況ぶり
今回の結果について、日本の食の魅力を海外に発信する大きな成果になった一方で、課題として「日本のレストランや食の魅力を発信する大きなチャンスを逃さないような戦略が必要です」と語るのが、ベスト50の日本の評議委員長である中村孝則さんだ。
「今回のリストは、真っ先に国を開いた欧州の有利さが反映されていると読み解けます。国を開いた欧州を含めた諸外国は現在、リベンジガストロノミーともいえる盛況ぶりであるのに対し、日本はいまだ諸外国からの入国を制限していてかなり不利な立場にあります。
このランキングには『いかに海外のフーディーたちを日本に呼び込むか』という課題があり、日本のレストランはほぼ手弁当で海外にアピールしているという現状を考えると、今回の順位は彼らの奮闘の結果であり、逆に、日本としていかに海外にアピールするかという課題の解決が急務だと感じています」
料理の味だけでなく、社会的な意義を意識できているかや社会貢献、また情報発信力などこれまでになかった意識が求められるベスト50のランキング。おいしさだけでない多様な価値観で選ばれる50軒。レストランが社会的なものである以上、味以外の要素もレストランには欠かせないものという考え方が増えてきたのもまた、事実なのだ。
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