日本は4軒「世界のベストレストラン50」が注目の訳 これまでのレストラン評価と異なる点とは?
シェフの成澤由浩(なりさわ・よしひろ)さんは1969年生まれ。2002年、南青山に「レ・クレアシヨン・ド・ナリサワ」を開業。現在は「ナリサワ」と名称を改め、フランス料理を超えた“イノベーティブ里山キュイジーヌ”(革新的里山料理)というジャンルを構築。日本の里山にある食文化や先人の知恵の豊かさを料理で表現する。ベスト50には、2009年以来現在まで連続してランクインしている。
4軒に共通しているのは、シェフの年齢がおおよそ40代と若いこと。また、どの店も料理の基礎にそれぞれ日本料理・フランス料理という型を持ちながら、その型を超えてその人ならではの独自の料理世界を展開している点だ。社会的なメッセージや日本文化の掘り起こしなど、他の店にない独自の視点が料理として結実しているかが問われる。
「おいしい店」よりも「旬の店」
「ベスト50」は今年で20年。イギリスの雑誌社によって2002年に始まり、毎年、50位から1位まで、50軒のレストランが選ばれる。このランキングの存在感が世界的に増すにつれてランクインする店の国や地域の数が増え、賞は細分化された。
現在は、この「世界のベスト50」のほかに、アジアやラテンアメリカなど地域ごとの賞が生まれ、これらも同様に年に1度、ランキングを発表している。その中の1つ、2022年度の「アジアベスト50」では、今回世界で20位の「傳」がアジア1位を獲得した。
またさまざまな部門賞、例えば、「ホスピタリティアワード」や、菓子職人を対象とした「ベストペストリー賞」のほか、「ベストソムリエ賞」や、女性シェフを顕彰する「ベストフィーメールシェフ」などの賞も生まれた。
アジアのベストフィーメール賞を2022年に受賞した「エテ」(東京)の庄司夏子さんや、アジアのベストペストリー賞を受賞した杉野英実さん・成田一世さんなど、日本人も多く受賞している。
実はこのようなランキング形式の賞は、この「ベスト50」だけではない。世界の1000軒のレストランを選ぶ「ラ・リスト」はフランス外務省の主導で2015年に始まったもの。また、2004年に始まった、世界のレストランに投票する「OAD」などがある。
それらはいずれも、全世界の飲食店を対象として独自のアルゴリズムで店に順位をつけて発表するという点は共通しているが、やはりベスト50が最も古参であり、知名度や影響力は最も大きい。
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