休みもとらず、家にも一度も戻らなかったので、自分の家のマンションの番号も忘れてしまったぐらい(笑)。国民の生活を守るために、何ができるのか、24時間365日、悩み抜きました。
私にとって、何より重要なのは「この国を守り、国民の暮らしを守る」ということ。国民一人ひとりの日々の生活に思いを寄せ、「どうやって一人でも多くの命を守ることができるのか」「誰かの悩みを1つでも取り除くことはできないか」「財布の負担を少しでも軽くすることは何か」を常に考えてきました。
必要な医療が受けられるようにする、高すぎる価格は下げる、デジタル化を進め、人の暮らしを便利にする……。そんな国民にとっての「できて当たり前のこと」を1つひとつ着実に実行し、形にすることが私の責任だととらえてきました。
コミュニケーションについての考え
――コミュニケーションについてはずいぶんと批判を受けましたよね。やはり、苦手意識があるんでしょうか。「スピーチコーチングを受けては?」という側近のアドバイスも結局、受けられることはありませんでしたね。
私はそんなに苦手だと思っていなかったんですよね(笑)。自分で1つひとつ信念を持って仕事をしてきましたので、それについて語れば通じるんじゃないかぐらいの思いでやっていたと思いますね。こんなに悪いと思わなかった(笑)。
スピーチ力とかそういうことでなくて、やはり何をやらなきゃダメなのか本質的なことを考えて、見極める。総理大臣というのは最大の権力者ですから、理屈に合わないことはできない。そういう思いでやってきました。
昔から、人前で話すのは好きではなかった。中味もないのに口先だけで話すとか、自分を実力以上に飾り立てることよりも、真剣勝負でやっていれば、結果が出たらわかってくれるだろうなって思いは、やはりずっと強いですよね。
東北人気質というか。生まれ育ったのが秋田の山奥で、冬は長い間雪に閉ざされていました。じっと我慢していると、ようやく春になり、雪が解け、大地を見たときには、自然とワクワクとした躍動感を覚えましたね。だから、我慢強いし、追い込まれると強い。
昔、学校の先生が何か言っても言うことを聞かないが、私が言うとほかの生徒たちが聞いてくれたことがありました。口下手でも不思議と人はついてきてくれましたね。
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