この視点で見れば、Web3における事業や開発は、社会インフラを建造しているのと同義であると言えるだろう。
「全員で参加し、全員で利用し、全員でよくなる」というインターネットやWWWが持っている共創という人間の本質的な行為を、Web3はさらに推し進める可能性があるのだ。
ヒト、モノ、カネ、情報の流れが変わる
インターネットの登場はヒト、モノ、カネ、情報のうち、とくに情報の部分に大きなインパクトを与えた。情報の領域はそれまで出版社、テレビ局のような特定のプレイヤーが力を持っていたが、グーグルやフェイスブックのような数多くのプレイヤーがそれを奪い取った。
そして、ブロックチェーンの登場は情報に加え、価値の流れも変える。
この価値とはカネであるかもしれないし、モノであるかもしれない。いずれにせよ、社会の血液たる資源の流れを新しく作り出したり効率化したりすることができる。今後社会のあり方をより深いところから変えていくことは想像に難くない。
ここまでの内容をまとめると、Web1.0がIT革命であったならば、Web3はコラボレーション革命であると言えるだろう。
Web3がコラボレーション革命だと言えるのは、2つの側面がある。
1つ目は、トークンを設計し、人々のインセンティブを調整することで集合的な目標に向かって協力しあう側面だ。サトシ・ナカモトのビットコイン論文が発端となったトークンによるインセンティブ設計だが、より複雑な目標に向けて応用が進み始めている。
2つ目は「コンポーザビリティ」という側面だ。コンポーザビリティとは、複数の要素を組み合わせることができる性質を指している。わかりやすく表現すると、レゴブロックのようなイメージだ。
Web3におけるプロトコルはすべての人がユーザーであり所有者になれる。
これはつまり誰でも手の届くところにプロトコルがあることを意味する。他の誰かが公開したプロトコルを前提としてそれを組み合わせて、新しいプロトコルを開発できる。
このようなことが可能なのは、社会インフラとしてすべての人に開放され、全員が同じ共通基盤を利用し、標準化されたルールに則って開発・利用するからだ。
既存のイノベーションに新しいイノベーションが上乗せされて、次々と技術革新が起こる可能性がWeb3には秘められている。
亀井 聡彦
Fracton Ventures Co-Founder
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かめい としひこ / Toshihiko Kamei
2013年から、シードアクセラレーターであるMOVIDA JAPAN に参画。主にシード期のスタートアップへの投資育成支援、並びに、大企業のイントレプレナー育成を行う。2015 年から、コレクティブ・インパクト・コミュニティのミスルトウ株式会社、IoT特化ファンドの株式会社アバラボにて、スタートアップエコシステム活性化のため、投資、育成、支援を行う。Web3のスタートアップエコシステムに貢献するべく2021年に、Fracton Ventures株式会社を共同創業。
鈴木 雄大
Fracton Ventures Co-Founder
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すずき ゆうだい / Yudai Suzuki
スタートアップインキュベーター、東証一部上場の金融機関を経て、2021年にFracton Ventures株式会社を共同創業。 2017年からブロックチェーン分野で登壇や執筆活動などを行う。2019年よりインターネット白書に毎年ブロックチェーン分野で寄稿するなど、世界のWeb3の動向についていち早く調査・情報発信を行っている。日本暗号資産ビジネス協会DeFi 部会副部会長、一般社団法人イーサリアムステーキング協会の理事を務める。
赤澤 直樹
Fracton Ventures Co-Founder / CTO
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あかざわ なおき / Naoki Akazawa
2016年からフリーランスエンジニアとしてデータ解析・機械学習分野を中心に活動を開始。2018年からはブロックチェーン及びスマートコントラクトを利用した複数の実証実験に企画設計から開発まで一気通貫で参加。同時に、国外のコミュニティを中心に、トークンエンジニアリングの発展・普及に向けた活動を開始。2019年からはブロックチェーン人材を育成する株式会社FLOCで講師やカリキュラム開発を行う。また、同年11月には技術者向けの入門書である『Pythonで動かして学ぶ! あたらしいブロックチェーンの教科書』(翔泳社)の執筆を担当。2021年にFracton Ventures株式会社を共同創業。