ホンダのハイブリッドは「苦難」を脱したのか 難産だった新方式、セダン「グレイス」で熟成
グレイスはクルマの性格からしても購買層がそれなりに限られるであろうコンパクトセダンであり、それもなじみのない名前のニューモデルながら、まずは順調なスタートを切ったと評価していいだろう。
このグレイスも、フィットやヴェゼルのリコール問題で、当初予定から発売がだいぶ遅れてしまった新型車だ。i-DCDはこれまで5度のリコールを経て、制御が見直され、ドライブフィールは格段に改善された。
リコール以上の改善を施す
そして今回、ホンダはグレイスの発売にあたり、すでにフィットやヴェゼルのリコールで施した制御の見直しよりも、さらなる改善を図り、ホンダ担当者によると「現状で考えられるベストの制御を追求した」という。それが、発売時期が遅れた理由でもある。
そんなグレイスの乗り味はどうか。筆者がこれまで何度か運転した印象では、開発関係者が苦労した甲斐もあって、走りは上々といえる仕上がりだと評価している。
細かく見ていくと、ゼロスタートや低速から徐々にスピードを上げていきたいときに、アクセル開度に対して加速が少し遅れてついてくるところが見受けられる。これはトルコン(トルクコンバーター)を持たないためトルク増幅効果を得られないことによるホンダならではのシステムの宿命といえそう。
そのため緩加速時にやや踏みすぎてしまうきらいはあるのだが、ある程度スピードが乗ってしまえば、DCTらしいダイレクト感のある走りを楽しむことができる。それ以外は、当初気になったような悪しき症状はほぼ気にならない。さすがは時間をかけただけのことはある。i-DCDのような機構では本来的に難しいのだろうと思っていたのだが、そうではなかったようだ。
一方で、ハード面を変えることなく、このような改善ができるのであれば、フィットHVやヴェゼルを出すときにも、もう少し慎重であってもよかったという気もする。
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