数学の「確率」がギャンブルから生まれた理由 「だまされない」スムーズな意思決定で差がつく
人生には結婚や起業のように極めて試行回数が少ないイベントもありますが、何度も繰り返すような事柄(新規顧客への飛び込み営業など)は、ある程度の試行数を担保することでより適切な確率を推し量ることが大切です。
経験則が当てはまらないケースは、主観確率を使う
ビジネスにおける確率は、サイコロの目やコインの裏表とは異なり、過去の実績などから帰納的に導かれることが多くなります。たとえば〇〇大学の出身者が高パフォーマンスを残す確率は40%などです。
ただ、そうした経験則が当てはまらないケースにおいては主観的な確率を用いなくてはならないこともあるので、その使い分けには要注意です。
事例で考えてみましょう。あなたはある地方の街に出張に行きました。目的地最寄りのバス停を降りて最初にすれ違ったのは女性でした。2人目も女性でした。3人目、4人目も女性でした。次にすれ違う人の性別はどのような確率になりそうでしょうか?
一般的な確率の計算においては、男女それぞれ50%と考えます。ただ、このケースではそれは当てはまらなさそうです。何らかの理由で、そのバス停近辺には女性が多い確率が高そうと推定されるからです。
たとえば女性の集まりやすい施設(女子高など)がある、あるいはもともとその時間帯にその地域には女性が多い(専業主婦が多い地域であるなど)といった可能性があるのです。
主観確率は、状況に応じて進化する確率ともいわれます。たとえば前ページにおいて編集者のAさんは周りの評価から「実力はそれほど変わっていない」と考えて話を進めました。ベテラン編集者ですから、それで大丈夫なことも多いでしょう。
一方で、伸び盛りの若手などは、昨年の営業受注率が30%だったのに、今年は連続して受注、受注と続く可能性は大いにあります。そうしたケースでは昨年の確率を用いるのではなく、状況に応じて40%、50%と引き上げていく必要あるのです。
確率というと主観とは相いれないように錯覚しがちですが、ビジネスにおいてはこの主観確率が大事なこともあるのです。どちらを用いるべきかには注意を払いましょう。
さて、『ビジネスで使える数学の基本が1冊でざっくりわかる本』では、確率についても一定のページを割いています。確率を用いたディシジョンツリーなどのツールは、明確に意識されていなくても、日常の意思決定で多用されています。
世の中に絶対ということはありません。常に確率が付きまといます。
ビジネスパーソンとして「より良いほうを選ぶ」可能性を高めるためにも、確率の基本は必須の素養として身につけたいものです。
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