数学の「確率」がギャンブルから生まれた理由 「だまされない」スムーズな意思決定で差がつく
ここではギャンブルの事例から考えてみます。
現在、日本の苗字ランキングトップ10は、1位から順に佐藤さん、鈴木さん、高橋さん、田中さん、伊藤さん、渡辺さん、山本さん、中村さん、小林さん、加藤さんで、合計は1250万人程度度とされます。つまりこの10個の苗字で日本人のちょうど10分の1程度となっています。
さて、あなたは同僚に次のような賭けを持ち掛けられました。
あなたはこの賭けに乗りますか?
「今度、抽選で選ばれた15人にインタビューをする。名簿などは未定だ。その15人の中に、このトップ10の苗字が1人もいないのと、最低1人はいるので賭けないか? 1人もいなかったら3000円の飲み代を奢る。その代わり、1人でもいたら1000円のランチを奢ってくれ。
ちなみにこの10個の苗字の日本人に占める確率は、データからもわかるように10分の1だ」
あなたならこの賭けに乗るでしょうか。「10分の1の確率なら、15人の人間がいたとしても0人の可能性は高そうだから、悪くない。飲み代3000円がチャラになるのも魅力的だし、負けてもせいぜい1000円だ」と考えた人もいるかもしれません。
しかし、このように感覚的に考えていては、プライベートでもビジネスでもより良い意思決定に結びつきません。
今回のケースでは以下のように考える必要があります。まず、任意の1人がこれらの苗字でない可能性を考えます。
その確率は90%となります。2人目以降も同様です。
つまり、15人すべてがこれらの苗字でない確率は、
0.9×0.9×0.9×0.9×0.9×0.9×0.9×0.9×0.9×0.9×0.9×0.9×0.9×0.9×0.9で計算されるのです。
実際にこの計算結果がどうなるかというと、0.206、すなわち20.6%となります。
そして、これらの苗字が1人でもいる確率は、1-0.206=0.794となります。
この確率に金額を掛けた期待値は以下のようになります。
1人はいる:1000円×0.794=794円
つまり、この賭けは、「1人はいる」のほうが有利なのです。同僚はこのことを計算して、似たような賭けを過去、誰かに持ち掛けていたのかもしれません。
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