フィリピン大統領の故郷に中国領事館がある理由 マルコス大統領一家の故郷・北イロコスの現在

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北イロコス州の観光名所の1つに、州都ラワグから車で2時間ほどの海岸沿いに並ぶ103基の発電用風車がある、計283メガワットを発電し、さらに増設が予定されている。

北イロコス州バンギにある、マルコス大統領が「私が建設した」と発言して物議を醸している発電用風車(写真・柴田直治)

父親から遅れること56年半。ボンボン氏は大統領就任演説で「北イロコスの砂丘の上で風車が回っている。未知の力を利用して電力を生み出している。私が建設したものだ」と胸を張った。選挙中もマルコス陣営は繰り返し、ボンボン氏の知事時代の業績として喧伝していた。

しかしながら、地元のファクトチェック団体によると、実際には国立再生可能エネルギー研究所の調査に基づいてアヤラ財閥の関連会社が建設した当時、ボンボン氏は知事ではなかった。

不正腐敗、人権侵害は「つくり話」

風車のたもとで、フィリピン南部ミンダナオ島ダバオから観光旅行に来ていた3人の中年女性と出会った。ダバオは前大統領の娘で現副大統領のサラ・ドゥテルテ氏の地盤だ。ボンボン氏の当選でその出身地に興味を抱き、国内旅行先に選んだという。ココナツ農園や薬局を経営するなど経済的に余裕のある人たちでグループ旅行が趣味。前回の旅行はパンデミック前の大阪だった。

3人ともドゥテルテ家の熱心な支持者で、うち2人は大統領選でボンボン氏に投票したが、ミレッテさん(56)は他の候補に入れたという。理由を問うと、「ドゥテルテ大統領は国内インフラの整備に取り組み、マルコス家のように生家を保存したり、資産を残したりすることはなかった。マルコス家は腐敗している」と続けると、他の2人が「そんな話はリベラルの作り話」と猛然と反論していた。

ラワグ市内で、どこかおいしいレストランありますかと聞くと、必ずと言ってよいほど「ラ・プレシオーサ」との答えが返ってきたので、夕食に訪れた。

レストランの宴会場で、結婚披露宴が行われていたが、それ以外の客はさほどおらず、長年勤める給仕長マニー・メンドーサさん(52)とじっくり話をすることができた。店にはマルコス一家も頻繁に訪れ、デリバリーで届けることも多いという。大統領選の遊説で立ち寄ったボンボン氏にも料理を届けた。大統領就任式のあとにも姉のアイミー氏とセシリア副知事が連れ立って食事に来た。

マルコス家の人々は他の客と同じダイニングエリアで食事をし、えらそうなところはない。アイミー議員は地元の言葉イロカノを話すが、家族の会話はだいたい英語とタガログ語。地元の代表的な料理ピナクベット(野菜などの蒸し料理)をいつも注文する。ボンボン氏は豚肉料理のクリスピー・バグネットやベーコンを好み、サンミゲルビールを少々たしなむという。

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