フィリピン大統領の故郷に中国領事館がある理由 マルコス大統領一家の故郷・北イロコスの現在

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フィリピン・ラワグ市にある中国領事館。高い鉄条網に囲まれている(写真・柴田直治)

ルソン島北西部に位置する北イロコス州は人口約60万。農業が主な産業で、州政府によると、ニンニクやドラゴンフルーツの生産が全国一。コメやマンゴー、玉ねぎなどの生産や酪農も盛んだ。

州都ラワグ市の郊外にある空港は国際空港と名がつくものの、現在は1日2便がマニラと往復するだけだ。8キロメートル離れた市内と結ぶ足は、トライシクルと呼ばれるサイドカー付きのバイクしかない。聞けばタクシーは市内に16台。夜8時ともなれば中心街でも人通りはまばらだ。ホテルやレストランも少ない。

高層ビルの見当たらない街で、中心の広場に面して建つ州庁舎にはボンボン氏の大統領就任を祝す大きな垂れ幕が下がっていた。背後では庁舎の増設工事が進んでいた。

「殺人無罪」を記念する裁判所

州政府の主は、マシュウ・マルコス・マノトク知事。ボンボン氏の姉アイミー・マルコス上院議員の息子だ。副知事セシリア・アラネタ・マルコス、ラワグ市長マイケル・マルコス・ケオン氏はいずれもボンボン氏のいとこ。下院の選挙区は2つあり、第1区は今回の統一選挙で初当選したボンボン氏の長男サンドロ氏。第2区はボンボン氏のいとこのユージニオ・アンヘロ・マルコス・バルバ氏。つまり同州から選出される政治家は国政にしろ、自治体にしろ、ほとんどがマルコスの名前がついた人々である。

州庁舎に向かって左に地方裁判所が立つ。正面には大きく「Marcos hall of Justice(マルコス正義の殿堂)」と記されている。どういうことか。裁判所の職員に聞くと、かつてこの建物に国立フィリピン大学の学生だったシニアが殺人容疑で逮捕・起訴され勾留されていたからだという。

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