元なでしこ岩清水梓さん「出産=引退」を変えたい ママプロWEリーガーが語った「使命」とは
元サッカー選手の宮本ともみさんは、2005年5月に長男を出産し、2006年11月に現役復帰。日本代表の合宿時には息子を連れ、参加したこともあった。
練習中はベビーシッターが息子さんの面倒を見て、昼食をとるときやお風呂は一緒。その合宿に参加していた岩清水さんは、その光景をふと思い出した。
「私にもできるかも」
覚悟を決め、出産、子育てと現役復帰にチャレンジしたいと素直な気持ちをチームに伝えた。
岩清水さんは数多くの国際大会で結果を残し、国内屈指のセンターバックとして活躍してきたクラブにとっても欠かせない存在。彼女の出産がクラブにどれだけ大きな影響を及ぼすかは容易に予想がつく。
「出産前後、最大限のサポートで自分を支えてくれたクラブ、スタッフ、そしてチームメートには、本当に感謝しかありません」
「すべて試行錯誤」
妊娠中は体に負荷をかけすぎないトレーニングを中心に行い、産後なるべく早くアスリートの体へ戻すことを意識した。
「トレーニングはすべて試行錯誤でした。何しろ、同じ経験をしている人が身近にいないから、何がよくて何がダメなのかもわからない。
臨月の頃は起き上がるのも歩くもの大変で、トレーニングどころか歩くこともままならないし。その頃はずっとソファに埋もれていましたね(笑)」
月を追うごとに変化していく自分の体。かつては90分間グラウンドを走り回っていたのに、まともに体を動かすこともままならない。
本当に自分はグラウンドに戻れるのか。そんな不安も募った。
32時間に及ぶ難産の末、2020年3月に待望の長男が誕生。初めての出産、子育ては手探り状態で、またもやわからないことばかり。岩清水さんも毎日必死だった。