元なでしこ岩清水梓さん「出産=引退」を変えたい ママプロWEリーガーが語った「使命」とは

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岩清水さんは出産前、あることを心の中で決めていた。 それは、「試合のときに息子と一緒に選手入場がしたい」という目標だ。

「この夢を実現するには、まずチームでスタメンを取らなければいけない。とてもレベルの高いチームですから簡単にスタメンにはなれないので、だいぶ先になるかな、なんて思っていました。

だから、復帰当時のモチベーションは高かったですし、ここから壁に向かっていくぞという気持ちでしたね」

妊娠中のトレーニングや出産後のリハビリは、チームメートとは別の時間帯で行っていた。だからこそ、チームでの練習に久しぶりに復帰したときには、言葉にならない喜びがこみ上げた。

息子と試合のピッチに入場する──。

出産前に描いた夢は、2022年3月5日の試合で復帰後初のスタメン出場を果たしてかなえた。

「試合が始まる前に後輩たちが、『息子さんにゴールを見せますね』『絶対に勝ちましょう』と言ってくれて。息子と入場したら感極まって泣いちゃうかもな、なんて思っていたんですが……。

実際は、久しぶりのスタメン出場という責任感や緊張感のほうが勝って完全仕事モード(笑)。涙は出ず、ピリッとしていました」

1人ひとりのアスリートが「選べる」世界をつくる

国内初の「ママプロWEリーガー」となった岩清水さん。今後は、女子サッカーの世界にもっと多様な生き方を根付かせたいと意欲をのぞかせた。

『出産=引退』の選択肢しかないこれまでの状況を変えていきたい。

私がまだまだやれる姿を見せることで、これまでとは違う選択肢があることを見せていけたら。それが今の私の使命だとも思うんですよね」

岩清水さんが目指すのは、多様な選択肢があり、それを1人ひとりのアスリートが「選べる」世界をつくることだ。だからこそ、後輩たちには「もっと外の世界にも目を向けて」と呼びかける。

©TOKYO VERDY
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