三菱「ミラージュ」モデルチェンジできない葛藤 発売から10年が経過した今、次世代モデルは?

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ミラージュのインテリア(写真:三菱自動車工業)
ミラージュのインテリア(写真:三菱自動車工業)

今、新車の生産は、必ずしも母国で行わなくても、生産設備の新しい工場で製造したほうが品質は高いというのが常識だ。製造機械の精度は新しいほど高く、また自動化の推進によって、作業者の技量を問わず安定した製品を生産できるようになる。そうした実態が消費者に行き渡っているかというと、案外知られておらず、ソーシャル・ネットワークの普及による口コミなどで評判が流布し、その情報で消費者心理が左右される一面もあるだろう。

それに対し、日本専用車種である軽自動車は国内生産となるため、言葉を尽くさなくても暗黙の安心が品質に対してあるかもしれない。

商品性を高める軽自動車と、それに近い存在の小型ハッチバック車の販売競争は、厳しい現実に直面することになったといえる。そうした時代の流れのなかで、モデルチェンジの機会を掴みにくい状況が生じているのではないか。

ミラージュ電動化に活路はあるのか

ミラージュのインテリア(写真:三菱自動車工業)
ミラージュのインテリア(写真:三菱自動車工業)

また、三菱自動車としては、経営の柱を電動化とSUVの2本に絞るとしており、ミラージュは現状、そのどちらにも当てはまらない存在になってしまった。

そうした中、今後、提携関係にある日産と共同で、マーチとともに電気自動車(EV)化することになれば、経営の柱のひとつである電動化の目的に叶うことになる。軽自動車で実現した「eKクロスEV」と「サクラ」の関係のように。

ただし、それを実現したNMKV(日産・三菱・軽・ヴィークル)は、基本的に軽自動車の開発と生産のために生まれた合弁会社だ。この先、軽自動車の枠を飛び越え、5ナンバーの小型2ボックス車にも同社の利点を生かせるなら、次期ミラージュと次期マーチが同様の商品性で生まれる可能性もあるかもしれない。軽自動車の知見が小型登録車でも生きる実績は、ダイハツがDNGA(ダイハツ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)で実証している。良品廉価なクルマづくりの拡大だ。

軽EVは、2009年の三菱「i-MiEV」から13年の歳月を経て、eKクロスEVとサクラとして新型が誕生した。そうした長い目で見れば、ミラージュとマーチも、もうしばらく時間をみて待っていれば、新しい情報が入ってくるのかもしれない。

御堀 直嗣 モータージャーナリスト

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みほり なおつぐ / Naotsugu Mihori

1955年、東京都生まれ。玉川大学工学部卒業。大学卒業後はレースでも活躍し、その後フリーのモータージャーナリストに。現在、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員を務める。日本EVクラブ副代表としてEVや環境・エネルギー分野に詳しい。趣味は、読書と、週1回の乗馬。

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