三菱「ミラージュ」モデルチェンジできない葛藤 発売から10年が経過した今、次世代モデルは?
1993年発売のスズキ「初代ワゴンR」をはじめ、2003年のダイハツ「初代タント」の誕生により、ハイトワゴンやスーパーハイトワゴンという、空間をより広く感じさせる車種が充実し、軽自動車の所有者は拡大の一途をたどることになった。追い打ちをかけたのが、2011年に誕生したホンダ「N-BOX」だろう。軽自動車としてだけでなく、登録車を含めた新車販売で1位を得たことが、N-BOXのすごさを表すとともに、軽自動車全体の躍進を物語っている。
日本の道路事情にマッチした軽自動車
軽自動車は、税金や有料道路代金も安上がりで、日常的に満足できる消費者が増加した。衝突安全性能では、現行の軽自動車規格で車体寸法が大型化されたことで、より大柄な登録車との衝突においても安全が保たれるようになったことも、選ぶうえでの安心材料になっているだろう。加えて、高齢者による事故の増加に対応した安全運転サポート車の登場が、安全に対する安心をより高めるようになっている。
実際、使う際には、現在の軽自動車規格の車体は、1960年代の日産「初代サニー」やトヨタ「初代カローラ」と車幅では同等で運転しやすい。なおかつ室内空間などの実用性で満足度の高い商品となっている。日本は、いまなお道路幅や駐車枠の寸法が1960年代の大衆車販売当時からそれほど変わらず、1998年に改訂された軽自動車規格以降、現在の軽自動車の車体寸法は、国内の交通環境に最適なのである。
かつては経済性で選ばれていた軽自動車が、商品性を高めたことで、逆に登録車の小型2ボックス車を選ぶ理由を薄めさせたといえるのではないか。
それでも登録車の小型2ボックス車を選びやすくするため、ミラージュもマーチもタイでの生産に切り替え、生産原価を抑えることで、軽自動車と価格競争力を保持できる策を摸索した。しかし、アジアカーやBRICS向けなど、価格を抑えた車種を東南アジアの工場で生産するなどが行われてきたため、タイ生産という言葉に拒絶感を覚えた消費者もあったのかもしれない。
たとえば日産の「ダットサン」は、新興市場向けとして2012年に復活し、インドネシアやインド、ロシアなどで生産と販売を行ったが、それらと混同した印象ももたらしたかもしれない。
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