A4. インフルエンザと同等に地域の医療機関で診療する
感染者数が増加していった場合に検査・診察の体制を充実させる必要がある。インフルエンザが一般の診療所で診察できることと同様に、重症化率が低くなった新型コロナ感染症も地域の診療所での診察を原則とするべきである。これについては、診療所等での感染を危惧する根強い慎重論がある。「インフルエンザはタミフルなどの治療薬があるから感染リスクがあっても診療所で治療できるが、コロナは安価な治療薬が確立していないので院内感染のリスクは冒せない」という議論である。こうした慎重論には2つの反論がありうる。
無症状感染者の自宅待機は再考を
B. 感染者数の増加と社会経活動の両立対策
B1.感染者・濃厚接触者の社会経済活動の可能性を高める
現役世代の感染者の隔離期間および現役世代の濃厚接触者の隔離期間について短縮を検討するべきである。特に、無症状感染者について自宅待機で社会経済機能の低下が発生する可能性がある。マスク着用などの一定のルールのもとで、エッセンシャルワーカーの場合は感染者であっても無症状なら社会経済活動を実施できるように検討してはどうか。
B2. 感染者の全数把握や濃厚接触者の特定やモニタリングをやめる
オミクロン株は感染率が高く、世代時間が短いため、感染者の全数把握や濃厚接触者の特定やモニタリングの感染拡大防止効果は小さい。したがって、企業や家庭での自主隔離も過剰になっている可能性がある。保健所の濃厚接触者の関連業務をやめるだけで、高齢者対応など本当にリスクの高い対象者へのケアを充実させることができる。
このような方針には、「正確なデータがとれなくなり、感染状況の把握が遅れ、政策対応が後手に回る」との反対論があるが、データ収集については、地域ごとにいくつか指定された診療所などの一般の医療機関で、定点観測(サーベイランス)によって感染状況を把握するという方法に切り替えればよい。インフルエンザの流行状況をサーベイランスによって把握していることと同様に、コロナもサーベイランス方式に切り替えても重大な違いは生じないと考えられる。
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