第7波に最適な医療提供体制にする為の政策提言 行動制限課さずにオミクロン株に対応するには

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II.4つの政策オプション

第7波対策でも、基本的には、新型コロナ対策分科会が4月27日に示した4つの考え方が、そのまま適用できる。

まず、行動制限について、まん延防止等重点措置などで社会経済活動を制限し、感染者の抑制に重点を置く「A」と、法に基づく制限を講じない「B」という対策に整理した。次に、医療提供体制については、感染者を特定の医療機関で隔離・診療する「①」と、保健医療体制の負荷を軽減するために地域の医療機関や在宅での診療を優先する「②」を示した。

したがって、制限が最も厳しい「A①」から最も緩い「B②」までの4案である。第6波でまん延防等重点措置を課していた時期は、A①であり、解除した後はB①という対策が取られてきた。

第7波の感染者や入院者数はどの程度になるか

第7波が、第6波なみの感染者数と入院者数となった場合に、第6波と同様にA①の対策をとるのか、B②の方向で対策を取るのかが大きな選択肢である。まず、第7波の感染者数と入院者数はどの程度になるかを検討しよう。

BA.5は、ほぼ世界同時に感染拡大が始まったので、そのウイルスの特性は十分には判明していない。そのため、いくつかの想定のもとで対策を考えていくことになる。3回目ワクチン接種からの時間が経過していることから感染予防効果の減弱化が進展している一方で、重症化予防効果はある程度維持されていることがシミュレーションの前提になる。

宮下翔光・仲田泰祐・岡本亘(2022)「第7波における重症化率・致死率・入院率の見通し」では、第7波の感染者数が第6波のピークの2倍のケースや同程度の場合、それぞれにおいて、重症化率について悲観的な場合と標準的な場合で、必要な病床数を計算している。

仮に、第7波の感染者数が2倍になっても、重症化率が第6波とそれほど変わらないという予想のもとでは重症者数は確保病床に収まる可能性が高いが、入院必要患者数は「高齢者は原則入院」という入院基準が変更されなければ、確保病床数を超える可能性がある。

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