「焼肉きんぐ」が圧倒的な支持を集める納得の理由 "潜在的な不満"を料金やサービスで取り除いた

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夏の限定メニューで提供する4種類の冷麺(写真=物語コーポレーション)

毎回、変化球商品もある。夏の限定メニューでは、「しあわせバタ~味ポテト」「ミニチョコチュロ」(ともに319円)のスナック系も用意した。これも客層を意識したのだろう。

今後の課題は「原材料の高騰」 と「人材の確保」

成長が続く「焼肉きんぐ」だが、今後の課題は何か。

「原材料の高騰と人材の確保です。当店は輸入牛肉と国産牛肉を提供していますが、なかでも輸入牛肉の価格は高騰したままです。今後もお客さまの満足に応えるためには、一定品質の肉の調達は欠かせません。

また、店舗拡大や安定運営を支えるには、優秀なアルバイト、パートさんの確保や定着も不可欠になります」(山口さん)

手頃な価格でも一定の基準を維持してきた同店にとって、品質の維持は欠かせない。

今後どう動くかは、まだわからないが、現時点では消費者意識にも変化が出ていた。

「1組当たりの人数は減っています。以前は大人数でのご利用も目立ちましたが、現在は家族やごく親しい人と来店されるケースが多いですね。一方でプレミアムコースの注文数が増えるなど、外食の特別感が増しているように感じます」

都内に店舗数が少ない現状など、出店計画についても聞いてみた。

「都内に限らず、首都圏と関西圏の出店には力を入れていきたいです。地場の個人店が強い大阪では当初苦戦しましたが、近年は受け入れられるようになり、客足も増えました。『地域一番店主義』も掲げ、1店当たりの売り上げを伸ばしつつ、出店計画を立てています」

「この業態で拡大できる適正規模は約400店」という声も聞く。急拡大した同店だが、最近の店舗拡大は抑え気味だ。顧客満足と向き合いながら進めていくのだろう。

高井 尚之 経済ジャーナリスト、経営コンサルタント

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たかい なおゆき / Naoyuki Takai

学生時代から在京スポーツ紙に連載を始める。卒業後、日本実業出版社の編集者、花王情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。「現象の裏にある本質を描く」をモットーに、「企業経営」「ビジネス現場とヒト」をテーマにした企画・執筆・講演多数。近著に『20年続く人気カフェづくりの本』(プレジデント社)がある。

 

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