岸田政権、安倍氏死去で「参院選勝利でも混迷」の訳 「すべての前提が変わった」自民党内の権力闘争

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

その一方で、今回の参院選勝利で「岸田1強」時代を築き、いわゆる「黄金の3年」を手中にして、「自らの意思を前面に出した政権運営」(側近)を目指してきた岸田首相にとって、安倍氏死去は「すべての前提が変わった」(同)ことにもなる。

これまで岸田首相が想定していたのは「参院選勝利を受けて、まず強力な人事権を発動して、党内の反岸田勢力を抑え込む」(官邸筋)とのシナリオだったとされる。しかし、安倍氏という「最大の支持者で、かつ政敵という強力な“相方”を失った」(同)ことで、党内の権力闘争の構図は一変したのは間違いない。

第2次岸田改造内閣の人事はどうなる?

安倍氏の盟友だが、岸田政権を支える最高実力者ともなっている麻生太郎副総裁。そして、安倍氏との親しい関係を誇示して麻生氏とともに政権の支柱として振る舞う茂木幹事長。この両氏と岸田首相の力関係も微妙に変化する可能性がある。

さらに、突然、「唯一無二の領袖」を失った最大派閥・安倍派が、「後継をめぐる派内紛争で分裂含みになる」(岸田派幹部)ことも想定される。もちろん、ここにきて安倍氏との長年の親交を復活させつつあった菅義偉前首相の出方も予測しにくい。

今回の参院選で当選した議員の議席指定や新たな議長・副議長選任のための臨時国会は8月3日(会期3日間)が見込まれている。その直前に岸田首相の訪米日程が組まれたためだ。

当然、第2次岸田改造内閣の人事はそれ以降となる。その場合、電光石火の形でのお盆前の人事断行か、一定の調整期間をおいての秋の臨時国会前の人事とするかの2択となる。いずれにしても、安倍氏死去で「岸田首相がどちらを選ぶかについては、選挙結果とその後の党内状況を見極めないと判断が難しい状況」(側近)となったことだけは間違いなさそうだ。

泉 宏 政治ジャーナリスト

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事