安倍元総理への銃撃が浮き彫りにした暴力の心理 世界一治安のよい日本の危うい善悪バランス

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日本は15年以上にわたって犯罪が減少し続けてきたが…(写真:AA/時事通信フォト)

参議院選挙の真只中で、安倍晋三元総理が銃撃され、死亡した。心からご冥福をお祈りしたい。

安倍元首相死去のニュースに接し、私自身も半ば茫然としている。そして、このような暴挙がこの日本で行われたことに対し、言いようのない大きな憤りと深い悲しみを感じている。これは、政治的立場、思想信条などが違っても、誰もが同じ気持ちであるに違いない。

日本は世界一治安のよい国である。このことは、どのような統計を見ても明らかだ。しかも、わが国ではこの15年以上にわたって、犯罪は減少の一途をたどっている。

それにはいくつかの理由が考えられる。中でも、国民の遵法意識の高さや警察の優秀さに加え、世界一厳しいと言われる銃規制などが大きな理由である。それだけに、この日本で、世界的にも有名な政治家が銃弾に倒れたということを、世界も驚きを持って報じている。

今時点でわかっている事件の断片

まだ事件については断片的なことしかわからない状況である。容疑者はその場で取り押さえられ、凶器とみられる銃も押収された。この銃は、手製であるとも報じられている。

さらに、容疑者は元自衛隊員であったとも報道されている。銃を自ら製造したことをあわせて考えると、相当な銃への知識があり、銃器の扱いには長けていたのかもしれない。

この銃は4月頃には準備していたという情報もあるし、爆弾や複数の銃も準備していたという。これが事実ならば、相当な計画性が窺われる。そして、安倍元総理が遊説予定を急遽変更し、容疑者が居住する奈良市に訪れたことを知り、そのタイミングを見計らって現場に赴いたことも、その計画性を裏付けている。

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