安倍元総理への銃撃が浮き彫りにした暴力の心理 世界一治安のよい日本の危うい善悪バランス

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動機については、「安倍元総理に対して不満があり、殺そうと思って狙った」「政治信条への恨みではない」と供述しているとされ、きわめて強い殺意があったことを窺わせる。また、「特定の宗教団体に恨みがあり、安倍元総理がその団体とつながりがあると思った」とも述べているという。

しかし、個人的な恨みがあったといっても、それが本当に事実なのか、あるいは他の動機があるのかは現時点ではまったくわからない。さらに、「特定の宗教団体」云々に至っては、だからといってなぜ安倍元総理を殺害するのかなど、直ちに了解可能な内容とはいえず、何らかの病的体験の影響があるのではないかという疑念すら残る。

このように、当然のことながら現時点では、これらの断片以外、何もわかっていないので、これ以上の事件や犯人像の分析は控えたい。

事件や犯人像の分析は現時点では十分にできないが、私はどうしても言っておきたいことがあり、それを書いておかなければならないという強い思いで、いまこの原稿を書いている。

陳腐でも表明し続けなければならない決意

それは、われわれは何があっても、どんな理由や背景があっても、あらゆる種類の暴力を断固として容認しないということである。そして、絶対に言論を暴力で封じてはならないということである。

事件を報じるニュースでも、SNSなどでも、多くの人々が同じことを異口同音に述べている。しかし、それがすでに百万回述べられていても、われわれは絶えずその決意を表明し続けなければならない。多くの人が述べているから、それが陳腐な声であると斜に構えた批判をする人もいるが、それでもやはりこれは言い続けなければならないのだ。

われわれは、これまでもこのような決意の下で、社会の安全を守ってきたし、その決意の強さが先に述べたような高い遵法意識や厳格な銃規制に結実しているのである。

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