米紙が伝えた「銃のない日本」で起きた暗殺の衝撃 2017年以降の銃暴力による死亡者はわずか14人
安倍晋三元首相が西日本で選挙演説中に暗殺された事件に関してとりわけ理解したがいのは、銃が使用されたことだ。銃器の購入・所持に関する最も厳しい法律を持つこの国において、銃犯罪は極めてまれである。
日本ではいかなる形の暴力も珍しいが、銃暴力はほとんど起こらない。2021年全体で銃関連の死亡者はたった1人だ。2017年以降では銃関連の死亡者は14人で、人口1億2500万人の国としては極めて低い数字である。
東京に住むデザイナーの井上エリカさん(25才)は、銃暴力が起きたなんて信じられないと、皆と共通の反応を示した。「銃が使われたと聞いて混乱しました」と彼女は言う。「銃?日本で?」
銃器所持のハードルはとてつもなく高い
日本の銃刀法では、原則として国内での銃器所持は禁止されている。狩猟に使用される銃は例外だが、免許取得の手続きは時間と費用がかかるため、取得する人はほとんどいない。
銃器を購入するためには、銃の安全講習から始まり、年3回実施される筆記試験に合格するまでの12段階をパスする必要がある。また、銃購入者が心身ともに健康であるという医師の診断書が必要だ。さらに、広範囲の身辺調査と、銃器・弾薬の保管に必要な銃器庫・弾薬庫の警察による検査が行われる。
7月8日まで、政治的な殺人事件などというものは遠い昔の遺物のように思われていたため、その銃撃事件はなおさら衝撃的だった。
日本の政治が穏やかであることはよく知られており、怒りが高まることはめったにない。議会での議論は通常、猫なで声や見せかけの怒りを超えることはなく、政治的プロパガンダを鳴らしながら黒いバンで定期的に街を徘徊する極右団体でさえ、治安への脅威というよりは厄介者とみなされているのだ。