米紙が伝えた「銃のない日本」で起きた暗殺の衝撃 2017年以降の銃暴力による死亡者はわずか14人

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日本で認可されている約19万2000丁の銃器のほとんどは、散弾銃と猟銃である。これに対し、ほとんどの銃器が登録されていないアメリカでは、民間人が所持している銃の数は4億丁近くと推定されている。

第二次世界大戦前の数年間は、激動する日本政治において政治家の暗殺が常態化していた。しかしそれ以降、殺害された政治家はごくわずかであり、しかもそのほとんどにおいて銃は使われていない。

国政レベルの政治家殺害事件は、1960年に17歳の極端な国家主義者が社会党の浅沼稲次郎党首を刺殺して以来である。

その同じ年、別の国粋主義者が安倍元首相の祖父であり当時の岸信介首相を襲った。岸首相は脚を繰り返し刺され、病院へ運ばれた。

もはや安全で平和な日本ではない

近年、日本ではほとんど見られない政治暴力は、組織的な犯罪もしくは右翼グループとの関連性がしばしば指摘されている。2007年、当時の伊藤一長長崎市長は暴力団員により射殺された。

ジャーナリストもしばしば標的とされている。1987年、左翼寄りの朝日新聞社の記者が殺害されているが、この事件は韓国人に批判的な右翼グループが関係していた。

不満を持つ者たちは時に、自ら命を絶ち、国民の同情を買うことにより、抗議を示している。最もよく知られているところでは、小説家の三島由紀夫が少人数の右翼兵グループを率いてクーデターに失敗した末、1970年に割腹自殺を行った。

コロンビア大学で日本政治を専門とするジェラルド・カーティス名誉教授は、安倍元首相殺害は日本の政治全体に影響を及ぼすだろうと述べている。

「日本人を震撼させ、もはや、第二次世界大戦後保ってきた安全で平和な日本ではないとの見方を強めることは間違いなく、新たに直面する現実の脅威に対処するよう変化せざるを得ないだろう」とメールで回答があった。「問題は、日本のリーダーたちがそれにいかに応えるかだ」。

(執筆:Daisuke Wakabayashi記者, Ben Dooley記者、Hikari Hida記者)

(C) 2022 The New York Times

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