安倍氏銃撃で誰もが思った「要人警護」の不十分さ 「シークレットサービス」とは何が違うのか

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日本のSPも「先着警護」として警備対象者より先に現地に赴き、不審者や不審物がないかなどの情報収集を行なっている。このたびもそうであった可能性が高いが、省略してしまう場合もあるようだ。

日本のSPも、特に選抜された警視庁警察官が厳しい訓練を受けて就くことに変わりはないが、その訓練期間は12週間とシークレットサービスよりは短い。ちなみに少し古いデータだが、2011年にはシークレットサービスに1万5600人の参加申請があったが、採用されたのは1%未満と狭き門だ。日本の警視庁全体の職員数が5万人程度なことを考えると、その層の厚さに大きな違いがある。日本でもシークレットサービスのように警備体制がもっと手厚く、組織化されていれば、今回のような悲劇は防げた可能性は低くはない。

オバマ元大統領と前科のある人物が鉢合わせ

ただし、シークレットサービスにも失敗はあった。全国組織なのでニューヨーク事務所もあったが、それが2001年当時はテロ攻撃を受けた、世界貿易センタービル内にあったため、同時多発テロの際には死亡者も出している。

また、オバマ政権時代にはホワイトハウス内への不法侵入事件や武器を持った前科のある民間警備員と大統領がエレベーターで乗り合わせてしまうなど不祥事が続き、ジュリア・ピアソン長官が引責辞任している。これなどはオバマ氏のマイクロ・マネジメントの行き過ぎによる士気の低下が原因ではないかと私見では思う。

大統領暗殺といえば、筆者としては1981年のレーガン大統領暗殺未遂事件が印象に残っている。この時の状況は今回の安倍元首相襲撃と類似しており、シークレットサービスからも負傷者が出ているが、大統領の生命は守っている。

犯人ジョン・ヒンクリーは映画『タクシー・ドライバー』を見て、大統領暗殺事件を起こせば、映画内と同様にヒロインを演じたジョディ・フォスターが自らの恋人になってくれるものと妄想し、事件を起こしたのだった。

ヒンクリーは統合失調症だったとして裁判では無罪になり、35年間精神病院に強制入院させられた後、2016年に多くの制約を課されたものの釈放され、2020年には創作活動を発表する自由を得てYouTubeで音楽を発表し、本年6月には一切の制約から解放された。

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