野口聡一が解説「宇宙の色・におい」予想外な実態 様々な点で我々の想像と大きく異なっている

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こうしたにおいの正体にはいくつかの説があります。ひとつは、ISSが周回する軌道には、「原子状酵素」という強い紫外線で分解された酸素原子が漂っていて、これが宇宙服の外側に付着し、ISS船内の空気と反応してオゾンが発生したというものです。

もうひとつは、恒星の寿命が終わるときに放出された炭素を含むガスが宇宙に漂っていて、これがにおいのもとになるという説です。

宇宙の色は、ブルーでもグリーンでもないあの色

宇宙の色のイメージは黒と思うかもしれません。しかし、「宇宙の色は人間の目で見るとベージュ」と2002年に2人の天文学者が明らかにしました。これは、宇宙全体の恒星の放つ光を集めて、平均化した場合の色です。

英国のカール・グレイズブルック博士とイワン・バルドリー博士は、「2dF銀河赤方偏移サーベイ」という約20万個の銀河を観測したデータをもとに、恒星が放つ光を平均化しました。

太陽の光は人間の目には白く見えますが、実際には光の中に紫から赤までの多様な光の成分が混ざっています。この私たちの目に見える光を可視光線と呼びます。

恒星の放つ光には、人間の目には見えない赤外線や紫外線の波長も含まれているため、印刷用データを使って目に見える色に変換されました。そして、ほぼ宇宙全体の恒星を観測した光の平均色は、2002年に「緑がかった淡いターコイズブルー」と発表されました。

ところが、それから少し後に「ベージュでした」と発表を修正。これは、色を変換する計算に誤りがあったためだそうです。この色は後に投票で「コズミック・ラテ」と名付けられました。ちなみに宇宙が黒く見えるのは、太陽の光を反射するものがないからです。

一方、宇宙は暗いのに空はどうして青く見えるのかという疑問があるかもしれません。地球には空気があり、その中に細かいチリも多くあります。日中に空が青いのは、こうした地球上の微粒子に太陽の光が衝突し、太陽の光の中の青い成分が私たちの目に入ってくるためです。

カール・グレイズブルック博士とイワン・バルドリー博士が作成した宇宙の平均色「コズミック・ラテ」のイメージ(出典:『宇宙飛行士だから知っている すばらしき宇宙の図鑑』)
時速2万8000kmの無重力世界

無重力の中、泳ぐように移動したり、宙がえりしたり、1度は体験したい方も多いと思います。ISSが飛行している高度400km付近は宇宙といっても地球に近く、地球の重力はほんの少し弱くなっていても、まだまだ作用しています。

ISSをはじめ人工衛星はロケットからもらった秒速7.9km(時速2万8000km)以上の速度で宇宙を飛び続けます。すなわち重力を受け落下しながらも地球を回る運動をします。

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