ただし平坦路で、明らかに威圧的なあおりを受けたと感じたら、第2回「あおり運転に怒り覚える人に知ってほしい対処法」でレポートしたように、すかさず進路を譲って危険から遠ざかるのがいいだろう。大型車は自重がかさばることから運動エネルギーが大きく、他車への加害性が物理的に大きくなる。
ところで昨今では、車両に「SOSボタン」なるものがある。たとえば日産自動車では「SOSコール」としてボタンを押下するとオペレーターと会話が可能で、その場でのアドバイスを受けることができる。
もともとSOSボタンは、運転中のドライバーに発生した体調急変に対応する機能として誕生した。救急自動通報システム「D-Call Net」と呼ばれる通称AACN(Advanced Automatic Collision Notification)(参考記事「交通事故の救命作業を速める最新技術の実情」2018年)とも連動し、事故発生時には発生場所や衝撃値、さらにはエアバッグの展開有無、乗員位置情報などを警察や消防と共有し、迅速な出動要請へとつなげる人命救助装置として位置付けられた。
そのSOSボタンでは専用回線によるオペレーターとの会話ができることから、あおり運転時に、あおられたドライバーを落ち着かせるためにも活用できるとされた。
あおり/あおられ運転は両成敗では解決しない
さて3回にわたってあおり/あおられ運転について考えてみた。あおった、あおられたという事象は確かに存在するものの、両成敗的な議論では解決しない、これが明らかになったと思う。
同時に、回避術もいくつか示した。悪意をもったあおり/あおられ運転には太刀打ちできない一方で、自身の感情コントロールによって、危険から遠ざかることはできる。最終着地点ではないが、まずは身の安全の確保が先決。
「行ってきます」には、行って(ちゃんと)帰ってきます、の意味が込められ、「行ってらっしゃい」には、行って(何事もなく帰って)らっしゃい、の意味があるという。車での移動には喜びがある一方で、高い速度に身をさらす。だから危険が伴う。
道路は混合交通だ。よって、今さらながら他車(者)とのコミュニケーションが重要で、それを深めていく先にあおり/あおられ運転を限りなくゼロに近づける1つの回答があるのではないかと思う。個人的には、そうしたコミュニケーションの分野にも先進安全技術をはじめとしたテクノロジーが深く入り込んでいけばいいなと期待している。
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