64歳で逝去「人類初サイボーグ」が世界に遺した物 東大教授追悼「ネオ・ヒューマンは生き続ける」

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人類で初めて「AIと融合」し、「サイボーグ」として生きる決断をしたピーター・スコット-モーガン博士(写真提供:著者)
全身の筋肉が動かなくなる難病ALSで余命2年を宣告されたこと機に、人類で初めて「AIと融合」し、サイボーグとして生きる未来を選んだピーター・スコット-モーガン博士が2022年6月、逝去された。
彼の挑戦を描いた自伝『NEO HUMAN ネオ・ヒューマン――究極の自由を得る未来』は、NHK「クローズアップ現代+」で「ピーター2.0 サイボーグとして生きる 脳とAI最前線」としてとりあげられるなど、日本でも話題となっている。
ここでは、同番組でピーター博士と共演した稲見昌彦・東京大学先端科学技術研究センター身体情報学分野教授の追悼文を掲載する。

ピーター・スコット-モーガンさんのご逝去に寄せて

2022年6月15日、ピーター・スコット-モーガンさんの肉体が安らかに息を引き取られたと、ご自身のTwitterで報告がありました。ご家族、ご近親の皆様に心からお悔やみを申し上げます。

『NEO HUMAN ネオ・ヒューマン――究極の自由を得る未来』(画像をクリックすると、特設サイトにジャンプします)

ピーターさんの「肉体」とあえて記したことを、関係者の方々には許していただけるかと思います。

たとえ身体が旅立ったとしても、彼の精神(スピリット)が生きながらえることは、私を含めた支持者の願いであり、ご本人の遺志でもあったからです。しかも二重の意味において。

ピーターさんは、身体を次第に動かせなくなる難病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)を患いながら、暗転した運命に果敢に立ち向かってきました。彼の武器は最先端のテクノロジーでした。衰えゆく肉体の機能を人工知能(AI)とロボット技術で補う人類初のサイボーグ、「ピーター2.0」として生きる道を選んだのです。

その帰結の1つが、彼自身とAIとの融合です。ともに生きるにつれて彼の思考法や感じ方を学んだAIが、次第に本人と見分けがつかなくなる将来を思い描いていたのです。

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