自死した17歳バレー部員、遺族が納得できない訳 暴言指導の顧問に処分は下るも、残った課題

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スポーツ指導の現場で暴言やパワハラが容認されるのは、各地で起きている問題ともいえる。

日本スポーツ協会が設けた暴力行為等相談窓口へ、2014~2021年度の8年間に寄せられた相談912件のうち、暴力や暴言を除いた「パワーハラスメント行為」が29%、「暴言」28%。合わせて57%にのぼる。3番目に多い暴力は20%。相談を受け持つ弁護士によると「暴力は年々減っているものの、手が出ないぶん言葉の暴力が強くなる傾向」だという。

一般社会で許されない暴力が、ことスポーツや部活動では指導の一環として長く容認されてきた。このため、次の段階である「暴言・パワハラ」を禁忌とする人権感覚には、今もって個人差が大きいようだ。

岩手県内の教育機関でバレー指導にあたっているある男性教員は、「中高とも、バレー部指導者の中には暴言がひどい人は少なくありません」とため息をつく。

「新谷君が亡くなってから第三者委員会で暴言やハラスメントが認定されるまでの1~2年間、Aさんをバレー会場で見かけることもあった。ベンチにこそ入らないがチーム運営はやっていたと思う」

万が一そうでなかったとしても、生徒が亡くなっているにもかかわらずそういったことを許してしまう周囲の甘さを感じたという。

若者が亡くなっても「指導だから」と擁護した周囲

当時、翼さんのチームメイトの保護者からは、A氏を擁護する嘆願書も出されていた。

不来方高校バレーボール部保護者らがA氏救済を求めた嘆願書署名の募集用紙(『スポーツ毒親 暴力・性虐待になぜわが子を差し出すのか』より)

「そうした空気の延長線で、嘆願書も出されたのでしょう。人が亡くなっている中で、なぜ周囲は嘆願書のようなものを許したのか。結果的に、他の指導者に向けて、暴言くらい何でもありませんよと間接的に伝わってしまった気がしてなりません」(男性教員)

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