加えて、リテラシーだけの問題とは別に手続きや細かな意思決定が面倒だと感じている人が少なくない。たとえば「ネット証券に口座を開いて、つみたてNISAとiDeCoの口座開設もするといい」と言われても手続きが億劫だと思う人がいるだろうし、どこのネット証券を選んだらいいのか、どの運用商品を選ぶといいのかについて、アドバイスや手伝いを求めたい人は少なくあるまい。前記の(2)と(3)は関連している。
2つのニーズをまとめて解決する方法は、マネーリテラシーに関して必要十分な知識を持ち、かつ金融機関や保険会社と利害を持たない「お金のアシスタント」に関して、ごく簡単な資格を設けて、お金に詳しい国民が、そうでない国民に対して、お金の知識について、教えるような「仕組み」を作ることではないだろうか。
個人が、金融機関や保険会社にそうした手助けを求めるのは、「赤頭巾ちゃんが狼に相談に行く」くらい愚かな行動だ。金融機関から利害的に独立で必要十分な知識を持った人に協力を求めるのがいい。
「ファイナンシャル・アシスタント」の必要性
一方、アドバイザーの側は、他人の役に立って報酬をもらえるならそれをビジネスにしてもいいと思うだろうが、ここで1つ困った問題が生じている。
現在の投資顧問に関する法律の下では、対象が投資信託であっても、個別の運用商品について銘柄と投資金額(比率)のアドバイスを行って、その報酬を取ることは違反行為とされるリスクがあるのだ。
つみたてNISAの口座ができて、顧客が「どれを選んだらいいのですか?」と質問したときに、口座開設の手伝いをした人は、「これがいいです」と具体的な商品を勧めることができないのだ。これでは顧客は不満だろう。
筆者が提案したいのは、マネーリテラシーに関して必要十分な知識を持っていて、ビジネス的にクリーンな人を「金融補助員(ファイナンシャル・アシスタント)として認証して、限定的な商品の中からだけ個別の商品についてもアドバイスの対象にできるようにすることだ。
ごく軽くて限定的な投資顧問業務を認める資格を作るといい。「どれがいいの?」に「私は答えることができません」では、サービスを受ける側も提供する側も不満だ。
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