激務の起業家が「1人雇って」得た500時間分の価値 創造的考察が仕事中に生まれる割合は僅か16%
ダンの説明はこうだ。あなたが有能な「誰か」で構成された「社員が勝手に働いてくれる会社」のオーナーだとしよう。あなたはそれほど働かなくても、多くのことが達成できる。自己管理が許される会社で働く有能な社員は、あなたに管理されなくても、自分で自分を管理できるからだ。
彼らは自分の行動に対して全責任を負う。それができるのは、あなたが明確でワクワクするビジョンをつくるからだ。さらに、どんなやり方でも彼らがやりやすい方法で、そのビジョンを実行し、実現すればよいのだと、彼らに全責任を委譲するからだ。
あなたのチームは、あなたがいなくても滞りなく仕事が続けられるようでなければならない。すべての起業家は、この状態を目指すべきなのである。
もし、あなたが起業家として、創造力を発揮して、成功し、長く働き続けたいと思うのであれば、リラックスして、心身を回復させ、遊び、やりたいことができる自由な時間を確保することがとても重要だ。
アイデアが生まれる瞬間
ある調査によると、創造的なインサイトのうち、仕事中に生まれるのは、わずか16パーセントにすぎない。アイデアは、自宅でくつろいでいるときや移動中、あるいは趣味を楽しんでいるときなどに浮かぶものだ。アイデアや解決策が熟成し、形になるには、時間と場所が必要であり、最も重要なのはくつろいで心身が回復することだという。
どんな場合であっても、「誰か」の第1号はあなた自身である。自分自身を高め、自分を大切にし、幸せで、創造的で、大切な人たちとつながっていられるようにしなければならない。
シャロンはこの考え方がとても気に入った。特に深く心に響いた理由は、彼女の母親が82歳と高齢だったからだ。これからどれだけそばにいられるかは、誰にも分からない。大の野球ファンの母親のために、シャロンはこんなアイデアを思いついた。
「『誰か』に頼ることで、年に3カ月の休暇が取れるくらいの自由を得て、その時間を使って、母と一緒にメジャーリーグの野球観戦で国中を旅してまわるのはどうだろう?」
これは、これ以上先延ばしにしてはいけない、とても大切なことと思われた。彼女は早速実行に移した。
シャロンは、「実務マネジャー」と名付けた人材の採用に、ただちに着手した。彼女がストレスを感じていた仕事の多くを引き継いでもらうスタッフだ。
実務マネジャーをつけたことで、たちまち彼女は年500時間もの自由時間を手にした。