そもそも「下」の立場は、放っておいても自動的に「上」を立てようとしてきます。それはそれで相手なりの社交辞令。
社交辞令を真に受けていつまでもダラダラと謙遜するのではなく、さっと切り上げて、もっと楽しい話題に移るのが「上」の立場の役割です。
知ったかぶりは余裕のなさを見せつけている
× 「あーあれね」と知ったかぶりをする
〇 「それって何だっけ?」と素直に教えてもらう
「その界隈でも、ブロックチェーンが注目されてるみたいで……」
「ん? ああ、ブロックチューンね、うんうん。ところであの件、どうなった?」
部下・後輩・年下と話していて、知らない言葉が出てくると知ったかぶりをしてごまかす人がいます。ですが、これは不正解です。
年齢を重ねると、つい見栄や意地ばかりが成長して、知らないことを知らないと言えなくなります。が、魅力的な上司・先輩・年上とは、「ものをよく知っている博識な人」ではなく「ものをよく知ろうとする柔軟な人」。それなのに、「バカにされたくない」と知ったかぶりをするのは、余裕のなさを見せつけているようなものです。
似たような「度量の狭さ」を示すものとして「決めつけ」があります。
人は経験を重ねると、価値観が固まり、ほかの考え方・視点を認めなくなりがちです。「これはこうあるべきだ」と決めつけてしまったほうが、あれこれと考えなくてラクだし、「自分の考えを持ってる人」のようでかっこいい。
「要するにさ、転職するのはトータルで見ると賢くないってことだよ」
「結局、あの人は売り上げのことしか考えてないから。いや、そうだって」
「子ども産むなら20代のうちのほうがいいよ。絶対!」
こんなふうに、あくまで自分の考えにすぎないことを、言い切って、決めつけて、あまつさえ、それを人に押しつけようとする。これもまた、加齢とともに思考が硬直していることをアピールする話し方です。場合によってはハラスメントになりかねません。
部下・後輩・年下と話していて、知らないこと、わからないことを目の前にしたときの正解は「それって何だっけ?」と素直に尋ねる、です。
これは最初が肝心。ちょっとでもわかった風を装うと、その先もどんどん苦しくなるばかりなので、早めに白旗を上げるといいでしょう。
「知らないことを『知らない』と打ち明ける」難しさは、相手もよくわかっています。だからこそ「上」の人が進んで「それ、知らない。教えてくれる?」と頭を下げると、「なんて謙虚な人なんだ」「教えます、教えます!」と印象が急上昇します。
価値観やモノの考え方も同様。なじみのない考えを「そんなの認めない!」と拒絶していたら、あっというまに立派な「老害」になってしまいます。そうではなく、「なるほどねー。正直、よくわからないんだけど、それってどうして?」と教えを請うのが、長い人生を考えると得策です。
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