「国防上も重要」鳥取県知事が説く地方鉄道の意義 平井伸治・全国知事会会長に直撃インタビュー

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――知事はこうした問題にどのように向き合っていくことが重要と考えているのですか。

ローカル線問題への対応については「存続派」「廃止派」という単純な議論ではなく上下分離も視野に入れた丁寧な議論をしていくことが重要になると考えている。鉄道路線の廃止についてはこれまで鉄道に関わってきた地域の歴史や努力がすべて消えてしまうことになり地域に与える影響が大きいことから簡単な話ではない。

――JR西日本では赤字30線区の収支を公開しました。

JR西日本が赤字30線区を一斉に公開したことで、多くの地域で蜂の巣をつついたような騒ぎになっている。しかし、JRもすべての路線を廃止しようという意図はないだろう。もし、後戻りができるのであれば一路線ずつ丁寧に協議をしていく必要があったのではないか。

――鳥取県では、因美線や山陰本線の一部区間が赤字30線区の中に入っています。

これらの鉄道路線の維持については、県、市町村、そしてJRという共同体の中で、良好な関係を保ちながらどのように鉄道を支えていくのかということが重要になると考えている。

不採算路線だけを切り出すべきではない

――ローカル線はどのように維持されるべきでしょうか。

JRも含めた鉄道事業者に対して経営基盤の安定化へ向けた国による支援を行うことがカギになる。

ひらい・しんじ/1961年生まれ。東京大学法学部卒業後、自治省(現総務省)に入省。鳥取県副知事を経て2007年に鳥取県知事選初当選。現在4期目。2021年から全国知事会会長に就任。(写真:鳥取県)

地方鉄道については、これまでも地域で独自に利用促進などの取り組みを重ねつつ、経営安定化に向けた支援制度の充実・強化を国に求めてきた。JRの取り扱いにあたっては、不採算区間のみを切り出して扱うことや、採算・収支を過度に重視した発想に陥らないようにすることが重要で、そのためにJR各社に対しては国の責任において適切な経営支援を講じることが必要になる。

さらに、各JR路線の先には国鉄改革で切り離された第三セクター鉄道が存在していることから、これらの路線をバス等へのモード転換を行うことになれば、第三セクター鉄道の経営にも大きな影響が出る。鉄道がつながっていることで乗車する利用者も多く、接続する第三セクター鉄道路線への影響なども視野に入れた検討・支援を行うことも不可欠だ。

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