「国防上も重要」鳥取県知事が説く地方鉄道の意義 平井伸治・全国知事会会長に直撃インタビュー
――全国知事会としては国に対しては具体的にどのような働きかけを行っているのですか。
国に対する働きかけについては、全国知事会のレベルで行っているものと、有志の28道府県のレベルで行っているものの2つが存在する。いずれの活動についても、鉄道ネットワークの維持を求めることについては「全国の共通理解」であるとして、JRへの経営支援なども含めた働きかけを行っている。
全国知事会からは、「国は交通政策に対して責任を持ち、その実現のために政府関係者にはしっかり汗をかいてもらう」ことについて要望を続けるとともに、広島県の湯﨑知事らを中心とした有志28道府県の知事の会では斉藤大臣に対して緊急提言を行うなど「より踏み込んだ克明な要望活動」を行ってきた。
国は「輸送モード転換」後の意識がない
――しかし、一方で国交省では2022年2月より「鉄道事業者と地域の協働による地域モビリティの刷新に関する検討会」を開催しており、特に鉄道特性の発揮が難しい輸送密度の低い線区については、輸送モードの転換も視野に入れて地域モビリティの刷新に取り組むことを掲げています。
輸送密度の低い路線について、国は安易にモード転換という言葉を口にするが、モード転換後にその地域がどうなるのかということについては意識がないことは問題だ。
バスなどへの輸送モード転換後の代替交通等については、地元自治体による継続的な補助金と慢性的なドライバー不足を抱える地元交通事業者だけで負担することになり継続性に大きな困難を伴う。さらに、鉄道の廃止や利便性を欠いた減便は、地域住民やインバウンドを含めた観光客の広域的な移動手段をなくすことになり、地方創生の取り組みへの影響が強く危惧される。
交通政策基本法という法律があるのだから国は地方の問題に対してはもっと踏み込んで考えてほしい。地方の鉄道ネットワークの重要性についても理解を深めるべきだと考えている。
――ローカル線の重要性を唱えると、それに対して反発をする勢力も一定数存在します。
こうした話をすると、都市部の人たちや、全体的な中から見ると少数勢力だがネット上のいわゆる支配勢力が攻撃をしてくるが、それは正直、思い上がりであると考えている。そもそも、地方の鉄道網を作り上げたのは、地方それぞれの経済力と努力の賜物だ。
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