「国防上も重要」鳥取県知事が説く地方鉄道の意義 平井伸治・全国知事会会長に直撃インタビュー

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――ロシア軍によるウクライナ侵攻では、鉄道の軍事面における重要性が表面化しました。

実際にロシア、ウクライナ双方の軍事作戦においても鉄道が戦争の攻防の争点にもなっている。

――鉄道が住民の避難や軍事物資の補給路としても機能しています。

ウクライナは日本の1.6倍ほどの国土に4100万人が暮らす国であるが、国内には総延長2万kmを超える鉄道網が網の目のように張り巡らされ、鉄道がウクライナ国民の重要な避難ルートや軍事物資の補給路として機能している。さらに最近では要人の移動にも鉄道が用いられている。

ウクライナから避難した人は700万人に迫りその多くが鉄道を利用している。有事の際には車による避難は極力避けるべきで、実際に戦争が始まった当初は、避難民による渋滞が発生し長時間にわたって身動きが取れなくなるというトラブルも発生した。

――鉄道と国力の関係についてはどのように考えますか。

先日もキーウの鉄道施設に対してミサイルが撃ち込まれたが、ロシア軍がウクライナの鉄道施設を狙い撃ちにするのは、鉄道を破壊することが防衛力も含めて国力の減衰につながるということの証である。それを日本のように単に経営が悪いからというだけの理由で手放してしまうのは正直言って愚策であり、日本政府だけが鉄道を採算で評価しているという点についてはもっと国として考え方を改めるべきだと考えている。

日本でも軍用列車が走るかもしれない

――日本の国防と鉄道ネットワークの維持についてはどのように考えますか。

1906年に公布された鉄道国有法の背景には日露戦争が関係していた。日露戦争によって軍事面や産業面での鉄道の重要性が強く認識されることになり、それまで国と民間の双方によって整備が進められていた鉄道網の大半が国有化され、国の元で一元管理されることになった。

当時の鉄道国有化の判断は、民間で整備された地方の鉄道については、地域の名士が私財を投じて建設したものも多かったが地方特有の事情から経営状況が良好とはいえず、こうした鉄道を救済しかつ国防力を高めることも背景にあった。

現代の日本でも国防は重要課題となっており、そのためには旅客輸送だけではなく貨物輸送を考えることも大切だ。今の日本では、鉄道の維持・運営についてはJRなどの個別の鉄道会社に責任を押し付けすぎている。しかし、今後は国としてどう鉄道ネットワークを維持していくのかという考え方が重要になる。これからは、日本でも軍用列車が走ることになるかもしれない。

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